読書の記録(37)『杉森くんを殺すには』長谷川まりる くもん出版
手にしたきっかけ
YAに向けたリーフレットづくりでご一緒した司書さんに教えてもらった。
最近知って、気になっていた1冊。題名にぎょっとするが、どんな話なんだろうと興味をそそられた。
心に残ったところ
重い話なのか、軽い話なのか、よくわからないまま話は進んでいく。
お弁当食べる人が変わっていくところや、今までとは友達が変わっていくところなどは、自分の中高生時代を思い出しながらなつかしく読んだ。学校の中ではグループってすごく重要だと思っていたけれど、大人になって社会に出てみたら、なんてことない。あんなに濃密だと思っていたけれど、卒業したら一度も会っていない人もいる。
さらりと書かれているけれど、『わたし』の状況もなかなか複雑で、『わたし』が小学校の頃によく嘘をついていたのも、高校生になった今、先生たちが私に甘いのもちゃんと理由があった。読んでいるときは、ん?あれ?という引っかかりだったんだけど、それは意図的にと言うかあえて引っかかるように書かれていて、あとでそういう伏線だったのねと、つながっていった。
印象的なシーンがいくつもあった。とくに後半。赤ちゃんが花火に驚くところ、ミトさんのトラウマ島の話、矢口くんの告白を受けるところ。どのシーンもこの本には必要で、私が杉森くんの死を乗り越えるためには必要なパーツなのだと思った。
『ラスト・フレンズ わたしたちの最後の13日間』ヤスミン・ラーマン 静山社
を読んだときにも力がある本だと感じ、子どもらにも薦めたいと思ったがデリケートなテーマを扱っているだけに、誰にでもおすすめできるというわけではなかった。司書との関係ができていて、どんな子か知っている子に、言葉を交わしながら手渡したい本だ。
読後感や、そうだったのか!という驚きは『カラフル』森絵都 講談社 に似ていると思った。ミステリー要素というか、どういうこと?という疑問が生まれてどんどん読み進めてしまう。
『カラフル』がよかったという子には『杉森くんを殺すには』も合うんじゃないかなあと思う。
まとめ
この『杉森くんを殺すには』はドキッとさせられる題名で、表紙の絵も一見すると可愛らしくて、ポップなイメージーがある。けれど、扱っている内容は単純ではないから、『カラフル』読んだことある?どうだった?などと話をしながら薦めようと思う。