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ブラジル産地訪問③ 精選

ブラジルに行った際の体験を通じて、生産から生豆に至るまでのを記載していきたいと思います。ブラジルといえば世界最大のコーヒー生産国ですが、それだけに生産・収穫・精選といった全てにおいて規模が全く他の生産国とは異なります!今回は収穫したコーヒーチェリーが生豆になるまでの工程をさす「精選」に関して書いていきます。なお、過去のお話はこちらから。

「精選」とは??

収穫したコーヒーチェリーから生豆を取り出す工程のことを「精選(せいせん)」といいます。生産する国の環境や規模によっても精選方法は異なり大きくわけると2つの精選方法があります。※厳密には5つあるのですが、今回は割愛します。

コーヒーチェリーの構造について

精選について語る前に収穫したコーヒチェリーの構造について説明します。チェリーは果肉、粘液質、パーチメント(殻)、生豆で構成されており、生豆を取り出すにはこの果肉と粘液質とパーチメントを取り外す必要があります。この取り出す作業を「精選」といいます。

構造

ナチュラル(非水洗式方法)

ナチュラル精選では収穫したコーヒーチェリーを天日乾燥上などで、チェリーが黒くなるまで乾燥させます。果肉、粘液質、殻が乾燥した後に機械でこの3構造をまとめて除去して生豆を取り出すシンプルな方法です。

まとめて除去するので工程数が少なく安価な選別方法ではありますが、収穫したコーヒチェリーの中には未成熟果実という十分に成長していない実が含まれていることがあります。ほかの選別方法では精選の初期の段階でこの未成熟果実の混入率を下げることが可能ですが、まとめて乾燥させるのでどれが未成熟果実か判別できないまま生豆の状態にすることから、未成熟生豆の混入率が比較的高いです。

もちろん収穫の段階で未成熟果実を収穫しなければいいじゃないか!というハナシではありますが、この精選方法を用いている生産国はブラジルやエチオピアなどの大量生産国が多く、収穫時にそこまで気をつかっていられない!というのが実情だと思います。ただし、今後の記事で後述する「選別工程」において、未成熟生豆の混入は減少するので、ナチュラル精選だからといって品質が悪いわけではありません。工程がシンプルだからこそ安価になりやすく、3構造をまとめて乾燥させることから後口に残る特徴的な風味になることがこの精選方法の良いところだと思います。

粗選別

夾雑選別

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この真っ黒の状態から機械にかけて生豆を取り出します。

ウォッシュド(水洗式方法)

ウォッシュド精選では収穫したコーヒチェリーからまず果肉を外す工程にかけられます。果肉を外す機械をパルパー(脱果肉機)というのですが、この機械では容易に果肉を除去できる「完熟果実」と果肉が固くて除去できない「未成熟果実」を分けることができます。熟しきっていない緑色のバナナの皮がなかなか剥けないように、コーヒーの果肉も成長していないと皮を剥くことが難しいのです。

この熟度による固さの違いを利用して、精選の初期の段階で未成熟果実の混入率をさげることが可能となります。次に粘液質を除去する工程にかけられますが、これは産地や環境によってことなりますが、発酵槽処理と機械処理に分けられます。

発酵槽処理では、プールのような場所に果肉を剥いたコーヒーを流し込みここに酵素や微生物を投入し、この粘液質を除去させてしまうという方法です。この発酵槽に浸ける時間は生産国や産地によって違いますが、この時間や設定がコーヒーの風味に影響を及ぼすとされていますが、水を大量に使用する上、粘液質を除去した後の水はすんごいすっぱ~い匂いで環境に優しいものとはいえませんので、環境保全等にうるさい国では用いられることがすくない粘液質除去方法です。

次に機械処理です。機械処理はスリットがはいった洗濯機のような機械で、この機械が高速回転し、豆と豆同士がぶつかり合う摩擦と豆と機械側面のスリットにぶつかる摩擦とで粘液質を除去していきます。上記の発酵槽処理に比べると処理時間が短く、使用する水の量も10分の1以下なので環境には優しい方法です。

粘液質を除去されたコーヒーはパーチメントコーヒーと呼ばれる状態になります。このパーチメントを脱殻機(だっかくき)と呼ばれる機械にかけ生豆を取り出して精選は完了です。

非水洗式に比べると、工程が多く、水を多量に使用することから精選コストは高くつきますが、精選の初期の段階で未成熟豆を取り除くことができるというメリット、雑味の無いクリアーな味わいになりやすいというメリットがあります。

パルパー

粘液質除去

おあーちおめん

最後に

以上、コーヒーチェリーから生豆を取り出す「精選」についてザックリとお話させていただきました。次回はコーヒー生豆になってからの「選別工程」についてお話させていただきます!宜しくお願いします。


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