コーヒー相場急騰中・・・
コーヒーを取り扱う業者としては非常に苦しいニュースなのですが、現在コーヒー原料価格が急騰しております(泣)なぜ現在価格が上がっているのか、どういった要因で価格があがるのかなどコーヒーの価格の決まり方について説明していきます。価格変動の要因として「先物市場価格(相場価格)」、「産地生産情報」、「為替」が挙げられます。
変動要因①・・・「先物市場価格」
コーヒーは先物商品としてアラビカ種がニューヨーク商品取引所、カネフォラ種がロンドン国際金融先物取引所によって取り扱われており、ここでの相場変動が原料価格に影響を与えます。今回はそもそもの価格が高いアラビカ種のほうが最終的な販売価格に影響を与えることを考慮し、アラビカ種メインでお話します。コーヒーの相場情報自体は「アラビカコーヒー 相場」とネット上で検索すると日々更新される相場価格が検索できます。コーヒーの価格は米ドル価格で、1ポンド(約435g)単位で値付けがされており、先物価格チャートではUSD(セント)/ポンドで表示されています。コーヒーの商社マンは日々このチャートを確認しながら、生産国からの生豆買い付け・製造者への生豆販売を行っています。
私のこれまでの経験からコーヒーの相場は10年または5年に一度ほどの間隔で急騰するのですが、現在は約168¢/ポンドと非常に高騰しており、2016年10月以降初めて170¢台に突入する勢いです。昨年11月に大生産国であるブラジルにまとまった降雨が見られなかったことを発端に徐々に相場は上昇し、昨年11月の105¢/ポンド⇨20日の時点で168¢/ポンドになっており、為替を¥110/ドルとした単純計算でいうと国内で流通するコーヒー価格は¥254/kg⇨¥407/kgと37%近く上昇しております。先物市場価格はコーヒー生産国の生産量見込みによって上がり下がりし、この相場を日々チェックしながら先物買付・販売を商社は行うのですが、実需とは関係なく相場情報を頼りにマネーゲームを繰り広げる「ファンド」の介入によってより大きく価格は変動します。ちなみに私が社会人2年目の時、コロンビアの生産量激減&ファンドの介入という相場高騰があり、2011年9月には299¢/ポンドという凄まじい高騰があり、生豆営業担当の私は販売先から「相場高騰なんか知るかぁー!」と怒られまくって、半泣きで帰社する日々が続いたのを覚えています・・・・。
尚、7月22日の時点で177.5¢/ポンドまで上昇しております。。。
変動要因②・・・「生産地状況」
先物市場価格はコーヒー生産国の生産量見込みによって上がり下がりするのですが、主に変動の要因となるのはブラジル、コロンビア、中米諸国の生産量予測によるところが大きく、このなかでも毎年相場を急騰・急落させるのが「ブラジル」です。相場の変動時期と要因はこのようになります。
1月~3月・・・産地の生育情報がでない、決算期のファンドが多いようでこの時期手じまり(損益確定)することから相場は下がり気味な時期。5月~7月はブラジルでの霜害懸念があり、非常にピリピリする期間で徐々に相場が上がり始めます。8-9月はブラジルの収穫量発表があり、ここでの速報値が少ないと相場は上がります。また同時期に中米コーヒーの生育状況もある程度公表されるので、ここも相場を変動させる大きな要因です。10月ー11月はブラジルは降雨期にあたるのですが、ここでまとまった降雨が無いと、相場はあがります。12月はクリスマスと年末も近いので、手じまいしちゃおう!というファンドの動きから若干ながら相場が減少する傾向にあります。
※上記は私の経験上の話であり、実際にはもっと細かな要因(残留農薬問題による出荷停止、産地でのストライキによって港が機能しない、パナマ運河が混雑して荷物が届かない‥等々)が複雑に絡み合ってコーヒー相場価格は変動します。
この中でも最も恐ろしいのがブラジルにおける「霜害」です。「霜」とは0度以下に冷えた物体の表面に、空気中の水蒸気が昇華(固体化)し、氷の結晶として堆積したものです。寒い時期に、風も弱く穏やかに晴れて放射冷却が発生し、気温がおよそ5度程度まで下がった朝、地面付近の温度は気温よりも数度低い0度以下となり、霜が降りることがあります。コーヒーの実自体への影響は少なく、当年の収穫量にはそこまで影響はないのですが、凍結した葉は枯れてしまうため、翌年光合成ができずに結実しないのでコーヒーの収穫量が落ちるという恐ろしいものです。過去1976年、77年にはこの霜害によって収穫量が激減し、当時3,300万袋(1袋は60kg)収穫できていたブラジルの収穫量は800万袋まで激減し、結果としてコーヒーの相場価格は5倍まで跳ね上がりました。霜害にあったエリアのコーヒーの樹は枯れてしまうこともあるため、植え替えやカットバックを行う必要があり、1~3年は収穫量が減少します。世界で最も生産量の多いブラジルコーヒーの生産量が最も相場を変動させるため、霜害の発生は価格の高騰を表しているといっていいと思います。
2021年7月21日 霜害発生・・・。
ブラジルは今年裏作にあたり、例年よりも収穫量が減ります。さらに11月に降雨量が少なかったことから、さらに収穫量が減る見込みがあったことから徐々に相場が上がっております。そして本日朝メールを開けると、以前ブラジルでお世話になった商社の方から驚愕の写真が。
7月20日に産地の一部で氷点下を記録し、霜害が発生したとのことです。幸いにも大生産量エリアから少し外れたこと、21日時点では気温が上昇し改善する見通しもあるそうだが、すでに来期の生産量は3%減少する見込みであり、例年より2百万袋(コーヒー1杯に換算すると800万杯分)減産する予想。相場は7/20の156¢/ポンド⇨166¢/ポンドまで一気に上昇することとなり、今後の状況次第では上がり続けることが考えられます。ハッキリ言ってしまうと現時点ではコーヒー相場価格が下がる要因が見当たりません。。。
この内容は7月21日に記載したのですが、22日時点では177¢まで上昇しており、このままでは国内の製造メーカーが一斉値上げせざるを得ない状況です。
実は6月末にも霜害の影響はあったのですが、それを見越してかUCC様は7月8日に「9月1日よりコーヒーの販売価格を20%値上げ」の改定を発表していました。素晴らしいタイミングで英断だったと思います。また我々のような零細企業では「相場が上がっているから値上げさせてください・・・。」といっても「オオテガアゲテナイカラダメヨ!」と必殺の返し文句で断られてしまうので、間接的に助けられます。
終わりに・・・
相場が非常に高騰している、そして現状下がる見込みがあまり無いことを説明させていただきました。これ以上相場が上がると我々も「UCCさんが言ってるんだから!!」と便乗して値上げを断行せざるを得ない状況です。明日の朝になって相場が少しでも下がることを祈る日々がしばらく続きそうです。。。今のとこは弊社通販サイトは価格を上げてないので、是非ご覧ください・・・。