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イマーシブ・フォート東京、大胆改革の舞台裏

森岡毅氏の真意 イマーシブ・フォート東京、大胆改革の裏に「マーケの鉄則」という日経クロストレンドの記事に感銘を受けたのでご紹介します。

没入型体験施設「イマーシブ・フォート東京」は、2025年3月1日に大胆なリニューアルを実施する。従来、入場チケットを購入すれば体験できた無料アトラクションを廃止し、ディープなイマーシブ体験ができる有料アトラクションのみとする。それに伴い、チケットシステムも、アトラクションごとに購入する個別チケット制へと変更。

ということですが、まずは私自身の反省の弁。イマーシブ・フォート東京、初めて知りました。2024年3月開業とのことですので、ちょうど1年。あらゆる情報が最適化され、興味領域の情報は自動的に入ってくる一方、それ以外の情報に触れる機会がなくなり、特定領域の話題がすっかり抜け落ちてしまうリスクを改めて痛感しました。

時代全体が、分かりやすく非日常体験ができ、振り切ったものが刺さる

江戸遊郭の独特の世界観を再現した「江戸花魁奇譚(えどおいらんきたん)」は、明らかに振り切った体験。突然、芸者小屋に連れ込まれてしまうなど、予測不能な体験が詰まっている。

NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の影響もあり、実に興味をそそります。

更に関連して、先日、読了した蔦屋重三郎を主人公にしたこちらの書籍も面白かったです。

1年目のキーコンセプトは「人生、全とっかえ。」。2年目は「さぁ、感動の最前列へ」へアップデート。

前例のない取り組みであるがゆえに、すべてを事前に予測することは不可能。仮説を持って実行し、結果をレビューしながら修正を加え、進化させていく。その結果、キーコンセプトも変更(進化)することに。

「人生、全とっかえ。」は、体験そのものをスパっと切ったコンセプト。イマーシブ体験は単なる体験というよりも、人生の前提そのものが覆されるような衝撃的な人生経験になると。そもそもイマーシブ体験を知らない人が多いと思っていたので、1年目は体験の種類を伝えることに注力したんですね。

 おかげさまで「江戸花魁奇譚」などディープなアトラクションから売れていくことになったから、正しかったと思います。

 しかし、2年目になると、イマーシブ体験がどういうものなのかよりも、それを体験したいと思う人たちの「属性」によりエンゲージできるコミュニケーションが必要になります。そこでチームが考え出してくれたのが、「さぁ、感動の最前列へ」というコンセプト。イマーシブ体験の良さを端的にお伝えしようとしています。

そして、記事の中で一番心に響いたのが、こちら。

狭いターゲティングをして、演劇好きや謎解き体験好きにしか分からない世界をつくろうとは決して思っていません。ライブエンターテイメントの市場を広げるためにイマーシブ・フォート東京をやっているので、エンタメ好きの方は全員ウエルカム、演劇好きの方、謎解き体験好きの方には早めに来ていただきたい、というのが正しい。

著者の最新刊「確率思考の戦略論」に詳しく書かれているとのことですが、ターゲティングありきではなく、「できるだけ広く売る方法ありきで考えるべき」とのこと。

エンタメ業界でも、購入頻度の高いリピーターを増やしたいがために、その人たちの満足度を追求してハードルが高くなりすぎた結果、尻すぼみになっていくケースがありますよね。リピーターの皆さんは「顧客」であって、そこだけを見ていると、市場全体の「消費者」の中から新しく来てくれる方を増やす施策に構想がいかず、どんどん狭く閉じていくのです。

 やはり我々マーケターは、顧客から消費者へと視座を広げなくてはならない。簡単に言うと、市場全体の消費者の中から広く強く、より大きなM(選ばれる確率)を勝ち取れるプレファレンスを総合的に企画しなくてはなりません。

本件、商品やサービス設計を考える際、毎回、悩むポイントですよね。ターゲットは絞り込めば、絞り込むほど、エッジが立ち刺さりやすくなる。一方で、そこからスケールさせることが困難になるというリスクとのトレードオフ。

改めて、市場全体の消費者の中から広く強く、より選ばれる確率を上げる企画を総合的に考える重要性を認識しました。

まずは、一度、イマーシブフォート東京に行ってみないとです。

■森岡さんの書籍


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マルセロ| 事業プロデューサー
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