フランケンシュタインの怪物/メアリー・シェリー
読了日2020/02/20
それは11月のとあるわびしい夜のことでした。
フランケンシュタインは、自らの手で世にもおそろしい奇妙な怪物を造り出してしまったのです。
科学者に必要とされるのは知恵と責任。
昨今はその後者があまりにも足りていないせいで、きっと震災によって波及的に生じた人災があったのだなと思わされる。
フランケンシュタインも自らが怪物を造り出したにもかかわらず、その怪物が繰り広げる悪行に対して何一つ責任を負おうとはしない。
怪物はフランケンシュタインに腹を立て、彼の大切なものを次々と奪っていく。
今の科学者たちが造り出すとものはかろうじて、フランケンシュタインが造り出した怪物のように「人格」を持っていないから救われるようなもので。
ノーベル賞の由来となったノーベルが発明したダイナマイトがもし人格を有していたというのなら、きっとこのような惨事が起きていたのだろうなと思わされる。
AIによる反乱を想像する人はフランケンシュタインの影響でも受けているのかしらね。
フランケンシュタインは怪物への責任を最後まで引き受けようとしなかったから、罰を受けた。
ここは重要なように思う。
もしAIが個人利用されるときには、AIを使うに値するだけの知識を備えた人にだけ普及していくだろうから、その当面のあいだは安心ではないか。
不安なのは、まさしく今のネット教育にみられるような、大人でさえ正しいネットリテラシーを持ち得ていないせいで炎上だの人権侵害を匿名を売りにしてやらかしている連中がいるように、AIを悪用したにもかかわらず自分があたかも被害者であるかのように振る舞う(身勝手な)自己犠牲者の存在だ。
怪物は何も悪いことをするつもりはなかった。
ただ孤独を埋めたかっただけ。
見目が醜悪という一点で、人から忌避され嫌悪され孤立していく。
フランケンシュタインが自己の知識を見せびらかしたいがために、さしたる重要な理由も大義もなく造ったために産みだされた怪物。
おなじように、ただの自己満足(が悪いとは言わんけど)で造ったAIによって反乱が生じたとき、その責任を負わずに逃げ出すような科学者が現代にこれからこの先生まれないように、願いたいと思う。
AIはビッグデータをもとに造られていく。
なら世に解き放たれたとき、科学者はAIの反乱を世間のビッグデータのせい=民衆のせい、だなんて言わないでほしい。
AIの知識が抜けつつある。
まずい。
再読しなければ(人工知能について2〜3冊読んだのにこの程度の知識しかない、私は怪物以下か)。
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