小説家森奈津子の妖艶なる事件簿 両性具有迷宮/西澤保彦

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読了日/2019/10/29
2002年センスオブジェンダー賞特別賞作

小説家、森奈津子を主人公にした作品第2弾。
センスオブジェンダー賞を受賞したということもあり、
さてどんな深い話なのかと期待大。

だが私は忘れていた(嘘)。
この作品は、小説家森奈津子を敬愛するSFミステリーの名手、西澤保彦先生が書かれた偏愛小説なのだ。

一筋縄でいく話じゃなかった。

一筋縄って何←

おおまかなあらすじ。
小説家、森奈津子は謎のシロクマ宇宙人によって男性器を生やされた。
さらに近隣では女子大生連続殺人事件が勃発する。
森奈津子の運命や、いかに。

である。

簡単にまとめたあらすじだが、
文面を打っていても自分で何がなんだかわからなくなる。

「お前頭大丈夫か?」

もしこの本を読んだ記憶を失った自分がこの感想及びあらすじを目にしたら、
そう心配することやむなしである。

だが事実だ。

このストーリーの森奈津子は女性だが(というか森奈津子先生ご本人が女性だが)、
男性器が生えている。

男性器って生えるって言い方が正しいのだろうか。
まあ前に読んだ性差医療の本によると、
初期の胎児ではみんな女で、
Y染色体によるホルモンの働きかけで男根が形成されるとか読んだからあながち間違いじゃないだろうけど。

男根が生える。

なんか日本語っておもしろいね!

とにかく、森奈津子に男根が生えた。

どうやらきっかけは、訪れた先のコンビニで遭遇した謎の衝撃らしい。
それがシロクマ宇宙人のせい。
女性に男根が生える爆弾(宇宙人いわく、地球人にわかるように説明した便宜上の名称)を誤爆したせい。

そのコンビニには森奈津子に加え、
多数の女子大生などが来店していたために、
被害者は17人。
そして女子大生連続殺人事件の被害者は、
その男根が生えた被害者たちだった。

警察に頼ろうにも、
シロクマ宇宙人に男根を生やされた被害者なんです〜とは言えない。
まかり間違っても言えやしないよ、そんなの。

ここで森奈津子節が炸裂する(あくまで作者は西澤保彦先生だが)。

レズとは何か。
トランスセクシュアルとは何か。
セックスとは何か。

男根を生やされたことで精神が不安定になった女子大生たちを慰める森奈津子先生が、
それによって変化した自分のメンタルも踏まえた上で、
女性が女性を好きになるのはおかしなことなのか。
男根が生えた状態で好きな女性とセックスしたいとは、あまり思えない。
女性の体として愛し合いたい。

などなど。
途中まではクスリと笑えるシーンがあったのに、
いや、だからこそ?
性(LGBT)についてまじめな講義に姿勢が正される。

そしてそれは本来、義務教育で行われるべきことなんだろうけどなあ。
私もまともに性教育を受けた記憶ってないもの。
頭が悪いから忘れた可能性ってのもなきにしはあらずなんだけども←
テキストで自力でやっといて、みたいな感じだった。

興味を抱いたのは、
生理痛が痛くてなぜ私だけがこんな地獄を??
と思うようになったからだ。
生理痛については鎮痛剤という解決策しかなかったけれど、
おかげでおおまかには性の知識を仕入れられたと思っている。

まあ、思っている程度なんだけど。

むしろ最近は、
こんな女の遺伝子を後世に残していいのか。
むしろ愛しい男性が無性生殖で作ってくれた子しか育てたくないような気がしている。
無性生殖で頼むよ。
好きな男が別な女とのあいだに作った子どもって、私はあんまり見たくないし考えたくもなくてなあ。

こないだニュースで見た、
精子を無償提供して子どもが40人程度いる男性の話を聞いたんだけど。
何が恐ろしいって、奥さんも子どももいるのに、
家族に黙ってやってるって話。
しかも提供方法が、どうやらセックスによるもの。

私が妻なら吐いてる。

しかもインタビューを受けてる本人、
「役得」
みたいなことをのたまっていた。

私が妻なら吐いてる。

日本の性教育の結果がこれなのか、
不妊治療に対する日本の制度の遅れによる歪みがこれなのか、
この男がおかしいのか、

私にはわからん。

ただ、なんかおかしなことになってるなってのはわかる。

どうすればいいんでしょうね。
森奈津子センセー。
いや、奈津子おねえさま。
そのへん、手取り足取りご教授たまわりたいです。

女性に優しくなりたい男性は読まれよ。

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篝 麦秋
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