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オラファー・エリアソンの夕日

ロンドンに暮らしていた頃、たくさんのアートギャラリーや劇場を訪れました。その頃は作品の感想を記録に残していなかったので、思い出すことは正確ではないかもしれないけれど、今も心に残っている感動を、少しずつ書いていけたらいいなと思っています。

ロンドンに着いて、初めて出かけたテート・モダン。天井が吹き抜けの広いタービン・ホールの展示は、オラファー・エリアソンの夕日の作品でした。ドライアイスのスモークがうっすらと立ち込めた空間は一面オレンジ色で、丸い太陽が力強く輝いていました。訪れた人たちは、床に座り込んだり寝転んだり、とても自由にゆったりと時間をかけて、作品を楽しんでいました。美術館の床に寝転ぶ???いいの?ありなの?と、最初は驚きましたが、その後ロンドンでの生活の中で、そういうゆるさをとても心地よく感じるようになっていきました。

ロンドンの人たちがアートを楽しむ姿は、肩の力が抜けていて、自由で自然でとても好きでした。でもそれだけではなくて、例えば劇場で公演の内容の質が良くなければ、途中で席を立って帰っていく人が続出したりして、厳しく真摯に作品と向き合う姿勢も感じました。

そんなロンドンの人たちの姿に触れることで、私の中にもアートを自由に楽しむ方法や、アートを好きな気持ちが育っていったのかもしれません。

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