中学理科 化学のあらすじ
今の中学理科の化学の分野ではどんなことを学んでいるのかなと、教科書と参考書をぱらぱらとめくっています。
項目を一つ一つ理解することも大事ですが、全体像を俯瞰したいなと思って、内容をあらすじのように書いてみました。これ読めば全部が分かるということは目的にしていなくて、なんとなくのマップが頭の中にできればいいなというイメージです。
今の中学生にはもちろんのこと、お子さんが中学生の親御さんや、高校以上の人たちが中学理科で学ぶことの振り返りにも良いかもしれません。
(注)正確ではなかったり、不足している部分もある思いますので、内容と詳細については教科書などで確認をお願いします。
世界にはたくさんの「物質」がある。その物質の「性質」「構造」「変化」について明らかにしてきたのが化学だ。
化学では物質の性質を調べるために、いろいろな器具を使いながら実験が行われてきた。加熱のためのガスバーナー、質量を量るためのてんびん、体積を計るためのメスシリンダー、固体と液体を分けるろ過に使うろ紙とろうとなど。これらは正しく、安全に使えるようになろう。
1年生
私たちの身の回りには、様々な物質がある。たくさんある物質を特徴で分けて、グループとして理解できると便利だ。有機物と無機物、金属と非金属などに物質を分類すると、特徴の違いを大まかに捉えることができる。
それぞれの物質は、その物質に特有な「性質」を持つ。例としては、密度や水への溶解度がある。物質の水への溶解度は温度によって変化する。水の温度が上がると溶解度は上がることが多く、高い温度でたくさん溶質を溶かした状態から温度を下げると、溶解度以上の溶質は固体として析出する。これを再結晶といい、固体の混合物を溶かして、溶解度の差を利用して物質を分ける操作に用いられる。また、水に物質を溶かした水溶液についてはつくり方や濃度の計算も重要。
温度によって固体、液体、気体と形を変えることを状態変化という。このとき、物質自体は変化しない。氷、液体の水、水蒸気に変わっても、水は水だ。固体・液体・気体が変わる温度は物質ごとに決まっている。固体から液体に変わる温度を融点、液体から気体になる温度を沸点という。液体の混合物から沸点の差を利用して物質を分ける操作を分留という。
そして、いろいろな気体の性質も学んでいく。つくり方、集め方、調べ方、水への溶けやすさ、酸性やアルカリ性、密度、においなどを整理しよう。
2年生
次は、物質の「構造」について、何によってどのようにつくられているのかを学んでいく。
物質を半分、そのまた半分と、細かく分けていくと、原子というとても小さな粒が現れ、これが物質を作るパーツとなる。原子の種類のことを元素といい118種が見つかっているが、まずは身近に出てくる数十個を覚えよう。それぞれの元素には名前とともに、元素記号が割り当てられている。
世の中にいろいろな物質があるのは、物質を構成する元素の種類と原子の結びつき方が違うからだ。原子が2つ以上結合した粒子を分子といい、水の分子は酸素原子1つに水素原子が2つ結合している。また、一つだけの元素からできている物質を単体、2つ以上の元素からできている物質を化合物という。分子、単体、化合物は元素記号を用いて化学式としてあらわされる。なお、2つ以上の物質が混ざっただけのものを混合物という。
そして物質の構造が分かったら、いよいよ物質の「変化」について扱う。
原子の結びつきが変わって別の物質になる変化を化学反応という。そして化学反応を化学式で表したものが化学反応式だ。反応する前の物質すべての化学式とその数を左側に書き、矢印を挟んで、反応後の物質すべての化学式とその数を右側に書く。ある化学反応で物質同士が結びつくときの物質の数の比は決まっていて、化学反応式に表されている。
原子は、元素の種類ごとに決まった質量を持つ。そして、化学反応によって、原子自体ができたりなくなったりすることはない。だから、化学反応で物質が変化しても反応前後の物質全体の質量は変わらず、これを質量保存の法則という。
化学反応のうち、物質が酸素と結びつく反応を酸化という。逆に、物質から酸素が失われる反応を還元という。酸素分子は大気中にあり、いろいろな物質と結びつきやすいから大事な反応だ。
化学反応が起こるときには熱の出し入れも起こる。外に熱を出して周りを温める発熱反応、外から熱を吸収して周りを冷たくする吸熱反応がある。
3年生
実は、物質を構成する一番小さな粒は原子ではない。原子は、中心の原子核と周りにある電子からできていて、原子核はさらに陽子と中性子からできている。陽子はプラスの電荷、電子はマイナスの電荷を持っていて、原子に含まれる陽子の数と電子の数は同じ。元素の種類は原子の原子核にある陽子の数で決まっている。
ただし、原子や分子にある電子の数は増えたり減ったりして、粒子が電気を帯びることがあり、これをイオンという。電子の数が減ってプラスの電荷を持つようになった粒子を陽イオン、電子の数が増えてマイナスの電荷を持つようになった粒子を陰イオンとよぶ。
水に溶けると陽イオンと陰イオンを生じる物質を電解質といい、この反応を電離という。純粋な水は電気をほとんど通さないが、電解質溶液はイオンがあることによって電気が流れる。電池に繋いだ電極を水溶液に浸すと、陽イオンは陰極に引き寄せられて電子を受け取り、陰イオンは陽極側に引き寄せられ電子を陽極に渡す。溶液が塩酸の場合、水素イオンは陰極で電子を受け取り水素分子となり、塩化物イオンは陽極で電子を失って塩素分子となる。
逆に、化学反応を利用して電気を生むことができる。これが電池だ。これには金属のイオンへのなりやすさが関係してくる。イオンになりやすい金属は電子を失ってイオンとなり、イオンになりにくい金属の金属イオンは電子を受け取るって金属に戻る。この化学反応による電子の出し入れを導線などを使って外に取り出せるようにしたものが電池である。
最後に、酸とアルカリについて理解しよう。水に溶けて水素イオンを出す酸、水酸化物イオンを出すアルカリである。水溶液の酸性、中性、アルカリ性の変化を数値で表したものをpHといい、指示薬の色からおおよそのpHが分かる。酸とアルカリが混ざると、水素イオンと水酸化物イオンが反応して水ができ、これを中和という。
このように化学の分野では、中学理科に限らず「性質」「構造」「変化」に基づいて「物質」についての理解を深めていきます。
中学で学ぶ内容は高校以降で学ぶことの基礎ではありますが、私たちは自然のものから人工のものまでたくさんの物質に囲まれて生活しているので、物質を科学的にみる化学の考え方は日常でも役に立つかもしれませんね。