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あるくような速さで|日記

ぼーっとすることが多かった。疲れていたのかもしれない。

日曜日に飲んだビールのことを考えながら乗り切った。
禁酒しているわけじゃないんだけど、寝る前に薬を飲んでいるので、お酒を飲むと、眠りが浅くなる。

ただでさえ眠れないので、眠りを妨げることは避けたいところである。

先週は文学フリマに参加したので、ひとり打ち上げをした。

いつもひとり

こういう時に仲間がいればいいなあって思うんだけど、仲間なんていうのは、僕の場合ゲームの中にしか存在しない。そして、ドラクエの勇者は未成年だ。
酒飲まずによく魔王に立ち向かえるよな。王様に催眠術でもかけられたのだろうか。

だれか一緒に書いてくれる人がいればいいのになあとか妄想してしまう。
文芸サークルで参加している人たちを見ると、くう〜うらやましいと思ってしまうのだ。

だが、ギャラは山分けだ。こちとら独り占めじゃい!

と思ったけれど、仲間がいれば印刷代は折半できる。いいなあ。

それでも、少しずつ、ほんとうに少しずつなんだけど、イベントに出るたびにお客さんが増えてきて(ありがたいことです)、ああ何事も続けるのが大事なんだよなあ、としみじみとする。といってもまだ1年もたっていないので、これからである。

自分のペースを崩さない、少しずつ、売っていけばそれで良いのだと思う。

音楽の速度記号で言えばアンダンテ(Andante)
歩くような速さで。

といっても通勤ラッシュの都市部を歩く速さではない。
あれは速すぎる。びっくりしたよ。東京の朝。ひょえーってなった。

実際、アンダンテで演奏されている音楽を聴くと、かなりゆったりとした印象を受ける。19世紀の作曲家が考えていたAndanteは、現代人にとってはいささか遅すぎるのかもしれない。

社会に急かされるように、我々の歩行速度もどんどんと加速しているのだ。
なんだか、苦しいな。

もうすこしゆったりといこうではないか。
取り戻そうアンダンテ。アルデンテではないよ。

本の帯に歩くような速さで。と書いてあって、思わず買ってしまったのは、浅井音楽『しゅうまつのやわらかな、』というエッセイだ。


表紙のイラストも素敵。

帯の言葉は、きっと浅井音楽という著者の名前に掛けているんだろうなと思った。

そして、この本に流れるのは、やはり現代の歩く速度ではなく、19世紀の作曲家たちが想定していた Andanteそのものであった。

ゆったりと、のんびりと、風景と戯れながら歩いていく。
そんな素敵な作品だ。

この本を読んでいると、ふっと心が軽くなる瞬間があって、ああ出会うことができてよかったなと思った。半分くらい読んだ。大切に読みたいと思った。

過去とは、過ぎ去ったものではなく、過ぎ去らなかったもののことを言うのではないか。(p52)

浅井音楽『しゅうまつのやわらかな、』(KADOKAWA)

いまでも僕の中に残っているものたち。
それらを大切に守っていこうと思った。



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守田樹|凡庸な日常
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