読書記録84 2024年10月の本まとめ

読書の秋というには暑すぎる10月でした。

あまり冊数は読めなかったけど、目標としていた古典『ニコマコス倫理学(上)』を読めたので達成感。

1.『装丁、あれこれ』(2018)桂川潤

装丁や電子書籍など本周りの連載をまとめた本。連載なので一つ一つの文章が短くて読みやすい。たくさんの装丁家の名前と著書などが登場するため、次に読みたい本が見つかる道案内の役割も果たしてくれる。矢萩多聞の『本とはたらく』を読んだ後で、この本にも矢萩さんの話が何度か出てきた。同時並行で松田哲夫の『編集狂時代』を読んでいて、『装丁、あれこれ』にも松田さんの話ができたりと、つながりを感じて面白かった。

2.『世界史を大きく動かした植物』(2018)稲垣栄洋

『植物に死はあるのか』の作者の本で、気になったので図書館で借りた。コムギ、イネ、コショウ、チューリップ、ジャガイモなど、世界中に広がる植物がどのように広まっていったのか、日本にはどう紹介されて栽培されてきたかなどがコンパクトにまとまっている。「植物の目的は繁殖することであって、その観点で地球を見ると、地球の支配者は植物で人間はその繁殖の手助けをしているに過ぎない」という指摘が目から鱗だった。

3.『いま君に伝えたいお金の話』(2018)村上世彰

村上ファンド事件の記憶は幼くて無いのだが、なんとなく著者の名前は知っていた。お金との向き合い方について非常に易しく書いているので分かりやすい。貯金だけしてても仕方ないのはわかるが、投資するのもまた賭けでありなかなか踏み出せない。社会人になったら…と思っているけど時間がある今から勉強しておくことに越したことはなさそう。

4.『くらべて、けみして』(2023)こいしゆうか

新潮社校閲部全面協力で、校閲のあれこれがわかる漫画。ずっと前に予約していてやっと回ってきた。のほほんとしたタッチの絵と、校閲者のこだわりが爆発している内容のバランスがちょうど良くてとても面白かった。いっとき校閲の仕事に憧れたけれど、アルバイトで少しやった時に心が折れそうになったので、余程の覚悟がないと仕事にはできないなと思った。本当にプロの技なので、とても尊敬する。

5.『ニコマコス倫理学(上)』(2015)アリストテレス

読みたかった古典がようやく読めた。哲学書の中では分かりやすく読みやすいと評判のニコマコス倫理学。2300年以上前に語られた話の内容が現在でも「なるほど」と理解できることが驚きで、人間の考え方や性質はあまり変わっていない(あるいはアリストテレスを引き継いだ哲学や思考が日本では主流となっている)ということに驚愕しながら読み進めた。
「幸せってなんだっけ?」の答えに歴史の彼方から答えてくれる本らしいのだが、途中から中身を理解することに一生懸命になってしまい、最初に知りたかった「幸せってなんだっけ?」の問いをすっかり忘れていた。基本的にはいろいろな種類の「徳(アレテー)」がどんなものか紹介されていて、その「徳」に基づいた魂の或る性質の活動が幸福とされている。

Amazonオーディブルで聴いた本

10月にAmazonオーディブルを契約しました。今年の初めくらいに2ヶ月無料体験をして一旦やめたのですが、お昼休みにお弁当を食べながら本を読める(聴ける)のがやっぱり良いなと思い、再契約。

6.『センスの哲学』(2024)千葉雅也

本屋さんで見かけて読みたいと思っていた本がAmazonオーディブルオリジナルで音声化していたので、早速読んで(聴いて)みた。難しめな本は音声で聞くと、飛ばし読みしたり滑ったりすることがないので理解しやすい。
センスとは物事を意味の手前のリズムで捉え、リズム=うねりとビートを楽しむことだという主張を丁寧に説明しているので、比較的分かり易かった。
どうしても「それに何の意味があるのか?」と考えがちなので、もうちょっと引き目で物事を見てみようかなと思った。


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