幻夜
程よくネタバレ気にせずに記しているので、ネタバレに関してはご自身の判断でお願いいたします
大好きな白夜行をまた読み返したくなる
既視感
東野圭吾さんの作品は何冊も読んでいるからこその、同じ作者さんの作品だから?ということはないと断言したい
ここは敢えて作者さんの意図だと思っている
匂わすだけ匂わせているが明確にはしていない煙に巻かれた印象がまたいい
ずっと
あれ?白夜行の時の名前は美冬だった?と思ったけれど、年齢も名前も違うのに雅也との出逢いからのそれからがどこか漂ってくる空気感が白夜行を想い出させる
モヤモヤは拭えない
亮司の時には報えたんだろうと勝手に心が少し軽くなった読了だった
今回は雅也は確かに美冬に出逢う前に終了していたかもしれない
ただ使いすぎなくらいに酷使して心を壊してしまった
美冬も乗っ取りに必死過ぎたのか曽根さんに関しては納得できない
そこからもう破滅しかなかった
雪穂の幼少の頃のことを鑑みても、だからもう心はどこにもないのか
なぎ倒して焼き野原になっていく過程が恐ろしく逃げ出せないところまで来てしまうのはもう悪魔的な心象
出逢ってしまったら最後なのかもしれない
後味悪っ
深海美冬に出逢った人は男性も女性もすべての人が人生を狂わされる
自分の欲望のためならばすべてを利用し消費して、自分の進む道に邪魔する人もただそこにいた人もすべてなぎ倒していく
そう、すべてなのだ
だってもう誰も深海美冬が深海美冬なのかも分からないんだもの
読了後
幻夜単体で白夜行を読んでいなくてもそれだけでも楽しめる
白夜行を読んでからだと違和感の正体に慄く
幻夜を読んでから白夜行を読むとさらに奥が深まる
それぞれの楽しみ方はあるが、ここまで破滅的な東野圭吾さんの作品は貴重な体験なのかもしれない
この作品には救いはなかった
※否定しているとかではなくただたんに個人の感想