101日目 ダブルチェック、トリプルチェック
人間にはどんなに優秀な人材であっても、必ずミスをします。
ミスをしても、他の誰かが気付いてくれれば、修正できます。
できるだけミスがない状態にするには、成果をアウトプットする時にセルフチェックをして、誰かにチェックしてもらうというダブルチェック作業をすることでミスを減らします。
ただ、ダブルチェックをしても、ミスを100%防ぐことはできません。
人間が作業してミスする確率を1/100とすると、ダブルチェックをすれば、ミスする確率は1/10000になります。
じゃあ、もう1人増やして、トリプルチェックをすると、1/1000000になるのか?
理論上はそうなりそうですが、現実はそうではありません。
ダブルチェックよりトリプルチェックの方がミスする確率が高まります。
いやいや、確率の計算をすれば下がるじゃんと言いたい人がいるかもしてませんがそうなりません。
では、なぜダブルチェックよりトリプルチェックの方が理論上の計算に反してミスする確率が高くなってしまうのでしょうか?
答えは、「人間がチェックするからです。」
人間がチェックすると、心理的な要因が作用するからです。
トリプルチェックをする際の3人の心理状況を考えてみましょう。
セルフチェックの人は、
「この後、2人もチェックするから、自分が見逃しても大丈夫だろう。それより、後工程に2人もいるから、早くチェックを終わらせないと」
という心理状態です。
ダブルチェックの人は
「1回チェックしてるし、この後もチェックするわけだし、早く終わらせようっと」
という心理状態です。
トリプルチェックの人は
「さすがに2人もチェックしてるから、チェック漏れがないかぐらいのチェックでいいかな」
という心理状態です。
リンゲルマン効果、フリーライダー(ただ乗り)現象、社会的怠惰などと言われる社会的手抜きです。
責任感や注意力がチェックする人が増えると低下する現象で、昔から知られた事実です。
この事実を知らないと、2人でチェックしてもミスが発生するから、3人目のチェック者をつけて、厳格なチェック体制にしますと、実態とは異なる対策を立ててしまいます。
また、確率的に複数人でチェックした方が、ミスの発生確率が下がるのは、独立している場合です。
誰がチェックしたか?セルフチェックなのか?ダブルチェックなのか?トリプルチェックなのか?など、従属性を排除した場合は、理論値と同じくらいになります。
実際はミスの発生確率が人によって異なります。
また、人間がやるとミスのパターンがわかってきます。
バックグランドの違う人は、異なるパターンになる傾向があります。
独立性、多様性を確保する事が重要です。