金木犀のかおり
だいたい夜はちょっと
感傷的になって
金木犀の香りを辿る
わたしのなかで金木犀は秋よりも、夜が似合う花
幼い頃からずっと傍にあった花
物心がついて、金木犀の香りを『いい匂い』と感じてからは
夜、自宅の玄関前に咲く香りを楽しむために、昼間に出掛けていた。
秋にしか香らない、儚い花
金木犀の香りに執着して
金木犀の香水を買った
なんか違った
わたしが恐れていた、なんか違う の 感覚
ホンモノに 人工物は 勝てなかった。
あの甘い、懐かしい、消えそうな香りを
あの人は「知らない」と言った。
金木犀を知らない人生も、世の中にあるのか
香りを持っていってあげたいけれど、
香水ではいけない。
わたしが認めるのは、ホンモノのあの香りだけ
花言葉は、
「謙虚」「気高い人」
「真実」「陶酔」「初恋」。
『女の子に花の名前を教わると、男の子はその花を見るたびに 一生その子のこと思だしちゃうんだって』
花束みたいな恋をした、のように
いつか金木犀の香りを知ったとき、
一生思い出してくれたらいいな。