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早朝に眠った朝
1月の三連休明けの日、5:00ごろまで眠れず、始業時間になっても身体が動かなかった。せめて連絡を…と思ったけれど、身体が動かなかった。鉛のように重い。布団に触れている部分が接着剤でくっついてしまったように、動かすことができなかった。焦る気持ちだけはこんなにたくさん持っているのに、動かなくちゃと思うのに、身体は全く動いてくれず、30分ほど焦りと格闘してようやくスマホを手に取った。その時にはもうぐちゃぐちゃだった。
知らない番号からの着信。おそらく経理の人だろうと涙ながらにかけ直した。
「ごめんなさい」
今の自分の状況を簡単に伝え、クライアントとのMTGなどの仕事をどうするか話し、目の前のことだけなんとかしてもらった。この状況でも私は仕事がしたかった。しないとけないと思った。その旨も伝え、他の先輩にも自分から伝えないと、と誠意はあることを伝えたくて自分でチャットすると伝えた。
電話越しの経理の方はいつものように、母のように優しく「大丈夫だよ」と何度も言ってくれた。電話を切ると急いでチャットを入れた。
ご迷惑、ご心配をおかけしてすみません。
〇〇さんとお電話しました。
昨晩仕事のことを考えていたら全く眠れず、朝起きたら身体も動かず、ご連絡遅れてしまいました。
直近のMTGですが~~~~…。~~~はどうすればよいのか分からないので、助けていただきたいです。
ふつうの会社じゃたぶんもう駄目だろう。5か月目の新人がこんなことをしては終わりかもしれない。不安ながら、でもここは嘘を言っても意味ないし、事実は伝えようと包み隠さず連絡した。
数分もたたず、先輩からも連絡が入った。「お助けします!まずは安心してください」私の業務はすべてタスク登録するところに登録されているかだけ確認してもらうと、つづけて「眠れない時は日光浴するといいよ!天気がいいから散歩しておいで!」と想像の斜めはるか上をいくチャットをもらった。
今の自分の頭は信用ならないし、どうすれば良いのか分からず、だから従うことにした。簡単に身支度して、ここで彼のMTGも終わり顔を合わせると「!?」という表情だった。外に出るの?と言いたげだったので、「日光浴するといいって言われたから外に出る」というと、彼は長い休憩をもらって、一緒に散歩することになった。
家の近くに川があった。無職の間何度も歩いた場所だった。働いてからすっかり来なくなってしまっていたけど、川の近くにあったかわいいお店が気になっていたのを思い出し、そこを目指すことにしていた。
朝10時、11時までぐったりしていたけれど、日を浴びながら歩くのはすがすがしかった。髪の間を吹き抜ける風が気持ちよく、ただ「やっぱり私はだめなのか」と無職期間に何度も歩いた道を辿りながら何度も思った。
外にスウェーデンの国旗のあるヴィンテージのかわいいお店。無職期間は入らなかったお店。この時のためにあったのかもしれない。コーヒーを飲んでみたかったけれど生憎欠品でハーブティーとシナモンロール、彼はバーガーみたいなパンを注文した。少し店内をうろうろして、川を見ながらハーブティーを飲んで一息ついた。周りも、心も、空気が穏やかだった。久しぶりに穏やかさを感じた。
私はついさっきまでぐっちゃぐちゃに泣いていた。頭の中の容量はすでに越えるほど悩み事を不安でいっぱいだった。なのに、なんでこんなに落ち着いた時間を過ごしているのだろう。もはや回らない頭の中でぼーっと考えていた。
ただ少し落ち着いて、食べ終わると川沿いを歩いた。
何事もなかったかのように、驚くほどそれが日常であるかのように、たわいのない話をしながら、歩き続けた。
帰るか、と思いながら彼とスーパーで買い物もして、家に帰った。
どうしてもやらなきゃいけないことで焦っていた私は「直近のお客さんとのMTGの準備だけ仕事します」とそれだけを半分動かない頭で仕事をした。ほとんど寝ていなくても、眠くはなかった、今日も眠れないかもしれない…そう思いながらなんとかやることだけはやった。翌日、一度話したいと言われ、了承するのとともに、その日は仕事を終えた。
翌日、遅いながらも眠れたが、布団から出られないのは変わらずだった。「起き上がれません」を連絡をすると、ひとまず10時頃から離すことはできないかと言われたので、それまでにすこしずつ起き上がって、昨日まとめておいた今の気持ちや状況を伝えた。
「対話」を大事にしていると、だから話してほしい。ただ、やっぱり一人だと難しいのかもしれないね。そう言いながら話し終え、今週については2つMTGのある翌日はMTGだけ出て、金曜日の1つのMTGはリスケの連絡をして、翌週にすることにした。本当に目の前の、MTGだけに注力して仕事をした。
水曜日、木曜日、残りの時間はそれだけに注力して何とか終えて、金曜日はお休みすることにした。眠れていなかったのは解消されていたけれど、なんとなく本調子ではなかった。耳鳴りがずっと気になる。
それでも「安心してください」「大丈夫だよ」それが頭から離れなかった。こんなに迷惑かけているのに、彼も、先輩方も、優しかった。辛い時に誰からも助けてもらえなかった過去が、私の中にはずっとある。そのトラウマはきっと消えないし、癒えない。またそうなるのではないかと怖くてたまらない。でも、みんなが優しかった。安心して、今日は眠りについた。
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