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フィンランドに縁をもつ
眠れなくて、身体が鉛のように重くて、半泣きで仕事場に電話した後、私の「ごめんなさい」チャットに先輩からこんなお返事がきた。
眠れない時は、日光浴するといいよ!
天気いいのでちょっと散歩しておいで!
仕事に行けなかった人にかける言葉なのか?と思いつつ、正常な判断もできなければ、とてもじゃないけど仕事もできず、食べ物を口に入れたくない、気持ち悪い。そんな私にやるべきこともやりたいこともなかったので、言われるがままとりあえず外に出ることにした。
「散歩に行ってくる」と彼に伝えると一緒に行くと言われたので彼と出た。私のことを分かっている彼のことだから「え、大丈夫?死ぬ気?」みたいな不安が襲ったのだろう。大丈夫。まだ死ねないよ。彼の仕事は凄いなぁ。当日でも2時間もお昼休み取れるなんて、ピュアホワイトすぎるよ。
そうして彼と外へ出た。日光が眩しかった。
こんなに外は清々しいほど気持ちいいのに、どうして私はこんなに落ち込んでぼろぼろになっているんだろう。
無職期間によく歩いた道を辿りながら川へ向かった。その川沿いに一軒、気になるカフェがあった。フィンランドの国旗が下がって、ログハウスみたいなかわいい雰囲気のお店。メニューをちらっと見るとコーヒーとパン、シナモンロール。なんてフィンランドらしいんだろう。
無職期間からよく読んでいた『北欧こじらせ日記』を思い出し、「今度来よう」と何度も思った。一度だけ入ろうと思って向かったものの、その日に限ってお休みで結局行きたいと思ってから9ヶ月も来れていなかった。
散歩に行っておいでと言われて、真っ先に思いついたのかこのカフェの存在だった。フィンランドの国旗がいくつか並ぶ小さなカフェ。
年末年始も『北欧こじらせ日記』をよく読んだ。やっぱりホッコリして、落ち着いて、頑張ろうって思えるこの本が好きで、私も次第にフィンランドに興味を持っていったからここに行こうと決めた。
食欲も無ければ、なんなら気持ち悪いと思っていたのに、足取りは軽かった。楽しみだった。
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ドアを開けるとイケメンなお兄さんがいて嬉しくなってしまった。(面食いです)
コーヒーを飲んでみたかったけれど生憎のSOULD OUT。ハーブティーとシナモンロール、彼はサンドを頼み、テラス席についた。
平日の真昼間。私は何をしているんだろう。
やっぱり私は働けないのかな。
これ以上は無理かもしれない。
そんな気持ちに反して、川を見つめる。キラキラと照らされて輝く川の水が綺麗だった。周りには花も植えられている。冬なので多くは無いけれど自然に触れて、自分の存在を確かめて、隣には彼がいて、かつて一目惚れしたカフェにいる。嬉しさと楽しみと、そんな気持ちもあって頭の中は大忙しだった。
もちろん、寝不足のそこまで動かない頭で考えているだけなので、浅いぽっと出の考えを膨らましては消してを繰り返した。
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ハーブティーはいい香りがした。落ち着いた。
気持ち悪さはもう頭の中にはいなくて、それでも少しずつハーブティーを口にした。ふわっと香るあたたかい飲み物は安心を与えてくれた。
正直、シナモンロールも注文しておいて食欲なんてなかった。何も食べたくなくて、食べれないと思ってた。でも口に運ぶ入るのが不思議。上にかかっている砂糖の塊の食感も楽しくて夢中で食べた。彼の注文したサンドにはサーモンと野菜とレモンが入っていて、爽やかでとても食べやすかった。
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また来よう。
そう思いながらお店を後にして、川沿いをゆっくり歩いた。このあとどうなるか、どうするかなんて分からない。でも今、この慌ただしくて不安で包まれていた頭と心はほっと落ち着いた。これはフィンランド効果なのだろうか?
そうしてふつふつと湧いてきた思いは、
フィンランドに行きたい。
また本を読みたい。
シナモンロールももっと食べたい。
次は、なるべく早く来よう。
私にとって新たなサードプレイスができた気がした。スタバ、本屋、タリーズに、ここ。
改めて密かに心に“次”を誓い、帰路へ着いた。
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