見出し画像

ビリヤニ【5】(南インド) もう一つのビリヤニ文化

インド食器屋「アジアハンター」の店主・小林真樹さんが、食器買い付けの旅や国内の専門店巡りで出会った美味しい料理、お店、そしてインドの食文化をご紹介します。


日本でも朝昼晩でそれぞれ食べるものが異なるように、タミルでも、とりわけベジ(菜食)食堂ではメニューによって提供の時間割が存在する。基本的にパロッタやラヴァ・ドーサ、ボンダ(ジャガイモを具にした揚げ物)、バジ(野菜の揚げ物)は夜、ポンガルやワダなどは朝だけ食べる印象がある(店によって変動アリ)。

南インドといえばバナナの葉にのったミールスが有名だが、ランチ時だけしか提供されないという不文律がどのタミルの食堂にもある。夜にミールスを食べたくても出す店がないのだ。とはいえその理由を
「我々がミールスを夜に食べないのはご飯が重いから。夜は軽く済ませるのが私たちの間では一般的なんですよ」
とまことしやかに教えてくれたタミル人が、晩ごはんにてんこ盛りのビリヤニをむさぼり食べている姿を目撃してしまったこともある。食習慣化した本当の理由など当のタミル人にもわからないものなのだ。




この話が読めるのはこちら↓

2024年12月13日(金)発売
深遠なるインド料理の世界』小林真樹/著


この記事が参加している募集