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【勝手にふるえてろ】圧倒的脇役ヒロイン、ヨシカについて


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あなたは「ヒロイン」という言葉から、どんな存在を連想するだろう。

映画の中では美しい心と明るい笑顔で周りの人を変えていくヒロイン、恵まれない環境に生れながらひょんなことから脚光を浴びることになるヒロインなど、ありとあらゆる女性が描かれている。

そしてまた新しい映画を観たとき、「あーこのタイプね。」と映画史の中で構築されたヒロイン分類図の中にカテゴライズされていく。

しかし【勝手にふるえてろ】のヒロイン、ヨシカはどのカテゴリーにも当てはまない。最初から最後まで私をハラハラドキドキさせ、時に「なにやってんだよう」と歯痒い思いをさせ、感動と爽快感を味わせてくれたヒロインは他にいない。

松岡茉優が日本アカデミー賞で主演女優賞を獲得したことで再度話題になったので、これを機会にかわいいかわいいヨシカちゃんの魅力ポイントを語らせていただきたい。

【ポイント①】「ラブコメ史上最もキラキラしてないヒロイン」なのに全然諦めてない!

中学時代に出会った初恋相手「イチ」への熱烈な恋が止まらず、中学時代には目玉を動かさずに視野の端で見る「視野見」を習得してまでバレないようイチを見つめ続け、大人になった今でも脳内に何度もイチを召還する日々を送るヨシカ。そんなヒロインが会社の冴えない同僚「ニ」に告白されるところからストーリーは始まる。

これだけ聞くと、「中学の頃の初恋相手で妄想してたら初めて告白されて舞い上がっているOL」というただの妄想癖の強い非リア女子の話、と想像するかもしれない。

だけどそうではない。全然非リアではないのだ。頭の先から足の先まで全然諦めてない。髪を洗うとクルクルとしてしまうくせっ毛も出勤時にはしっかりストレートに伸ばしているし、経理部の社員としてパソコンに数字を打ち込む爪先は丁寧に磨かれている。化粧だってちゃんとしているし、休日に着る私服だってめちゃくちゃおしゃれなのだ。全然諦めていない。

公式ホームページにも「ラブコメ史上最もキラキラしてないヒロイン」と修飾されているにも関わらず、好きなことを追い求める芯も希望も持っている女性なのである。かわいい。松岡茉優かわいい。

ではなぜ「キラキラしていないヒロイン」と広報担当に名付けられてしまったのか?それは、彼女自身が「人生の脇役」になってしまっているからだと私は思う。

彼女は、営業部との飲み会を好きな番組を理由に断ったり、参加しても途中で抜け出したりと人との関わりを避け、脳内にいるイチと一緒に妄想の世界に住んでいる。その様子が、誰もいない自分の人生の隅っこで生きているように見える。

確かに現実の人間関係から逸脱し、妄想の世界で行きている彼女は輝いていないようにも見える。だけど、そんな自分への嫌悪感やうずうずした感情が、台詞にはなくとも、身なりやファッションから滲み出しているように見えて仕方ないのである。そんな何にもカテゴライズできない繊細かつ厚みのある主人公のキャラクターが一番の魅力である。

そんな妄想の世界をぶち破ってきたニの存在により、現実世界に引き込まれ、やがて妄想世界にいたイチも、現実に引っ張り出し、人生の主役になっていく。

【ポイント②】究極のツンデレ

ウザキャラのニのことを疎ましく思いつつ告白に喜んだりデートに行ったりするヨシカ。ずっと気持ち悪いけど、自分勝手なヨシカを好きでいてくれるニ。好きではなくても自分の承認欲求を高めてくれる人間から離れるのが難しいんだなあと思う。ニに強く当たるヨシカかわいい。松岡茉優かわいい。

【ポイント③】破天荒

ここまでで既に分かるように、ヨシカには常に自分がこうしたい!という願望がある。そこに向かうために、周りの人から見たら突発的に破天荒なことをしでかすのもとても魅力的なのだ。

イチと話すため中学の時書いていた漫画を突然描き出したり、馬鹿にしてくる久留実を見返すために妊娠したと嘘をついたり、

「どれだけねじくれれば生きやすくなるの?」ともがく姿に心を打たれること間違いない。

【ポイント③】繊細of繊細

普通、中学の時の同級生から名前を忘れていたからと言って、あそこまで傷つくだろうか?少なくとも存在は覚えてもらっているわけだし、これから友達になって名前も覚えてもらえばいいかと思う人が多いのではないだろうか。

好きすぎるって、とても苦しい。自分の中で設定しているゴールが現実よりも遥かに高くて、現実とのギャップに傷ついてしまうのだ。こじらせていなくても誰しも経験あることなのではないだろうか。

【ポイント④】それでも、だからこそ自ら人を突き放す

「誰からも見えてないみたい」と悲しく微笑むヨシカだが、ニはヨシカのことをちゃんと見ているのである。それを分かっていながら、自分を押し殺したり妥協することができなくて、孤独になっちゃって、それでも自分のことが大好きなところがとても人間らしく愛おしい。

【ポイント⑤】女との戦い方がかっこいい

久留実から下に見られていることに憤慨したヨシカは「妊娠した」と嘘ついて会社を休んでしまう。自己防衛力と警戒心ビンビンのヨシカらしい刺々しい反撃に出るのである。これはかわいいポイントというより共感だが、戦い方がなんかイカすなあってワクワクした。

【おまけ】キレてるニかっこいい

キレてるニがかっこいいんですわ。ずっと気持ち悪くて、「生理的に無理や…」って思わせる才能がすごいんだけど、それでも意味わからんヨシカのこと好きって大声で言えるのすごい、つよい。私は正論で怒られると結構好きになります。そういうことです。

「好きなら野蛮な私を受け入れてよ!」っていうヨシカに「相手にむきだしてしなだれかかるのはよくないよ。」っていうのもすごい分かるし、「だけど好き」ってその言い方の順番神だし、分かってんじゃんお前!かっこいいよ!ってなりました。

おわりに


ここまで雑に語ってきましたが、何に一番惹かれているかというと、二律背反なところなんですよね。自信はないけど自分のこと大好き。突き放すけど、さみしい。好きだけど、嫌い。そういう何とも説明しがたい人間らしさに何度も唸らされる映画でした。まだ観てない方はぜひ、ご覧になってみてください。

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