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96. 別れは突然、何事も。

昨日の夜、ドライヤーが壊れた。
発火したとか焦げ臭い匂いがするとかそんなんじゃなくて、なんだかいつもより風が弱いような、と思った数秒後に、しゅーーん、、と動かなくなった。あらら?と思ってスイッチを何度かカチッとやるとしばらくは温風を示す電気だけついたり消えたりしてたけど、10分くらいしたらもう、うんともすんとも言わなくなった。

ちょっと前から、乾かすときにガーって感じの、頑張って回ってる音がするなと思ってた。だけどこんなふうに終わりが来るとは。別れはいつも突然、何事も。そしてなくなった瞬間、ええー困ります!と気づく。何事も。

突然来る別れの中でもドライヤーは実は結構困る方で、自分の細くて長い髪をまあまあ大事に扱いたい私にとっては死活問題だ。寝るまでに乾けばいい、とかそういう問題じゃない。髪の毛がほわーっと広がってうねうねしてしまわないためには、手早くしっかり乾かすことが必須なのだ。ここに明日のコンディションがかかっている。しゅーーん、、じゃないよ!もうちょっとだけ頑張ってくれぇ!

この、失ったものを取り戻せないときの、小さな絶望感。風邪をひいた時、元気だった自分を思い出せない感覚に似てる。ああ、なんでドライヤーが頑張ってる音を立て始めた時に買い替えなかったんだろう。なんでもっとこまめに手洗いうがいしなかったんだろう。あの時の自分が憎い。


とはいえ時代は便利なもので、気がつけば私は半乾きの髪のままAmazonのprimeお急ぎ便でドライヤーを調べていた。ドライヤーの寿命って3〜4年らしいよ。上京して7年使ってたよ。それで去り際は静かにしゅーーん、だなんて、なかなか硬派なヤツだよ、きみは。

きっと私はまた7年同じドライヤーを使うので、超奮発して35,000円のドライヤーを買った。先代の逞しさと私の日々の頑張りへのエールとして。

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