バックオフィスエンジニアとは?広く浅くを究めるフルスタックなキャリア
※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。
はじめに
本記事にお越しいただき、ありがとうございます。採用担当の長尾です。今回は「バックオフィスエンジニアとは?」というタイトルの通り、このポジションの業務内容や魅力についてお伝えできればと思います。
バックオフィスエンジニアと聞いてピンときた方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。つい最近までこのポジションは、社内で「オフィスインフラエンジニア」や「ヘルプデスクリーダー」といった求人の中に含まれるものとして扱っていました。しかしながら、「来てほしい人の目に止まるのか、興味を持ってもらえるのか」と考えたときに不十分だと思い、一つのポジションとして採用活動をスタートしたという背景があります。
近いものとしては情シスや社内SE、ITサポート、ヘルプデスクと呼ばれるポジションですが、それでは大味過ぎる(内包されるが広すぎる、もしくは主旨とずれる)。色々なポジション名の案が挙がる中で最終的に、カバーする業務領域・役割としては「バックオフィス」であり、そこに「エンジニア」の技術を掛け合わせることで、管理や運用だけではなく様々な改善を打ち出していくのがこのポジションの肝だろう、という意味合いを込めて決定しました。
ここからは、実際にバックオフィスエンジニアとして活躍する高塩さんにインタビューした内容をもとに、本ポジションの業務内容や魅力、転職/キャリア選択に対する考え方まで、生の声をそのままにお伝えします。
本記事を通して、応募検討中/選考中の方に少しでも理解を深めていただいたり、また「こんな仕事があるんだよ」と社内の理解促進にも繋がれば嬉しく思います。
高塩さんへインタビュー
モノタロウ入社前:これまでの業務や転職活動について
―簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
モノタロウでは、コーポレートエンジニアリング部門ITサポートグループ(ITS)の「ITS案件・運用改善」チームで、チームリーダーを務めています。プライベートでは、2人の子供がいる31歳です。実はモノタロウへの転職活動は、上の子が生まれたばかりの忙しい時期だったこともあり、家族には秘密にしたまま進めていました(笑)
―そんなタイミングで、なぜ転職を考えていたのでしょう?
ITエンジニアとして胸を張れるかという不安が大きくありました。前職では公共系のシステムを担当しており、何よりもシステムの安定性が重要視される環境でした。新しい技術に触れる機会も限られており、ITエンジニアとしてモダンな技術や環境の経験を積むことができないことに対する焦りもありました。
また、勤務時間も大変長い会社だったため会社にこもりがちで、先述の通り新しい家族が増えたタイミングでありながら、子供たちと触れ合う時間を確保できていないことへの不安も一つのきっかけだったように思います。
―約5年、前職に勤めていたと聞いていますが、どのようなお仕事をされていたのですか?
茨城県内のSIerに新卒として入社し、地方自治体向けのシステム開発とその運用を主に担当していました。良い意味で、組織が大きすぎず分業が進んでいなかったため、手広く経験を積むことができました。
例えば、データセンターでサーバーラッキングから仮想化基盤の構築をする日もあれば、翌日にはミドルウェアの開発のためにC++でコードを書いている、そしてまた別の日には障害対応のためにDBのトレースログを読み解いていたり。インフラ・アプリの二足のわらじを履いているような仕事をしていました。
―それだけ幅広い経験がある中で、転職先はどのように絞っていったのですか?
ITに関わることを広く浅く経験してきたため、「私は○○エンジニアです!」と言い切るだけの特筆すべき専門性がないことに悩みました。一般論ではありますが、いずれかの専門性を深めていくスペシャリストを目指すのか、もしくは広い経験を活かしてゼネラリストを目指すのかという選択肢が初めにあったように思います。
結果的にモノタロウに入社したのは、やはり「広く浅く」を活かせると思ったからですね。配属先のITサポートグループが抱えている業務領域の広さ、またベンダーへ依存することなく自分たちでインフラからアプリケーションまで幅広く構築・開発・運用しているという点が私にとって非常に大きな魅力でした。
そして当時のグループ長が、モノタロウを取り巻くIT環境について「こんなところがよくない」「もっとこうしていきたい」とか、会社の行動規範をベースに「小規模な仮説検証を繰り返し、大きな成果を実現していく」ことを熱く語っていただいたことが、最終的にモノタロウに入社する後押しになりました。
―前向きな理由ばかりですが...不安に思っていたことはありませんでしたか?
たしか当時は「社内システムエンジニア(オフィスインフラ)」という名称での募集だったと記憶しています。様々な役割があるのですが、正直なところ、ヘルプデスクについてはあまり前向きなイメージを持っていませんでした。問い合わせやトラブルを淡々と処理していくことが主で、新しい技術を求めてチャレンジするようなポジションではなさそうだなと。
あとは私にとっては不安ではなかったのですが、茨城に他の担当者がいないということで、「茨城で一人体制になるけど大丈夫ですか?」と聞かれました。私はあまのじゃくな面があるので、「なかなか経験できないことだから、むしろ面白そう」と思って、すぐに了承しました(笑)
モノタロウ入社後:業務内容とこれからの課題について
―茨城で一人からスタートだったことで、本社側との差を感じることはありましたか?
コミュニケーションがオンラインかオフラインかという差はもちろんありますが、それ以外ではあまり感じたことはありません。「茨城配属だから茨城の業務だけ」と思ってしまうと、むしろギャップになってしまうかもしれません。
業務は茨城関連が3割、残りの7割は全社に関わるものです。ヘルプデスク業務ひとつをとっても、頂いた問い合わせについては拠点に関わらず対応します。私が茨城勤務であることを初めて知った社員の方に、驚かれることもよくありますね。
―具体的に今どんな業務を担当されているのか、そのやりがいを教えてください。
ITサポートグループでは、クライアントPC・iPhoneなどのIT資産運用、SaaS製品の運用管理、ITヘルプデスクとして社内からの問い合わせ対応などの定常業務を行っています。
私の担当業務としては、これらの定常運用をこなしながら、より少ない工数でITシステムを運用できるようにするために、システム間のAPI連携を自らコーディングして実現したり、自身でWebAPIを開発したりすることで自動化・省力化を推進することです。
例えば、入社以来取り組んだ内容としては、Amazon API Gatewayを利用して、SaaSのワークフローツールからオンプレミスの資産管理ツールのAPIを呼び出し、申請に応じて自動でUSBデバイスの接続許可設定を投入する仕組みを構築したりだとか、Active Directoryで管理しているファイルサーバーのアクセス権をHTTP経由で操作できるよう、PowerShell + IISでWeb APIを実装したり、といったところでしょうか。
直近だと、Azure Stack HCI上に構築した仮想クライアントPCを、利用者が自由にパワーオン・パワーオフ・リブートできるような簡易コンソールをWebアプリケーションとして開発して利用者に公開したりもしていますね。
今挙げたもの以外にも、Zapierに代表されるノーコード・ローコードツールを利用することで課題を解決したり、Google Apps ScriptでGoogleアカウント・グループに対するバッチ処理の仕組みを構築したり、といったところが主に取り組んでいるところです。
このあたりは前職でWebアプリケーションの開発をしていたり、仮想化基盤の構築をしていた「広く浅く」の経験・スキルをかなり活かせていると感じるところです。
また、顧客と対面することが少なかった前職と比べると、モノタロウでは自分が手を動かして作った物が業務の効率化に繋がっていることを直に感じることができているという点で、大きなやりがいに繋がっています。
―当社でITエンジニアとして仕事をする魅力を教えてください。
魅力の一つは、「やりたいことがあったときに根拠と価値を提示できれば、何でもやらせてもらえる」という点ですね。そして会社の方向性として、「自分で考えて、自分で手を動かして実装する」ということを大切にしています。
実際、モノタロウに来てから細かな指示を受けたことがほとんどありません。会社としてのビジョン、部門としての長期的計画はありますが、業務レベルで「こうやらないといけない」はないですね。
じゃあ担当者に丸投げなのかというと、そういうこともない。何かの課題に対して、こうしたらいいんじゃないのという意見が各所からバシバシでてくる。
ボトムアップとトップダウンのバランスが良い会社で、他社であれば優秀なメンバーや上司の意見・方針を待つだけになってしまうこともよくあると思いますが、当社では一人一人がオーナーシップを持って業務に取り組んでいる印象です。
―足りないところ、改善点について教えてください。
ITシステムのアカウント管理やPCやiPhoneなどのキッティング作業において、手作業の部分がまだまだ沢山あることです。弊社の今後のビジネス拡大と人員増加のペースを考えると、今までの運用をそのまま続けていたらそう遠くないうちに今のサービスレベルを担保できなくなることは自明です。
メンバーを増員していくことも一つですが、マンパワー・人海戦術に頼らない解決を図っていくことも絶対に必要だと思います。
今、我々が取り組んでいるところでいうと、PCやiPhoneなどのゼロタッチプロビジョニングがその一つですね。PCはMicrosoft Intune、iOSデバイスはJamf Proというモバイルデバイス管理ツールを導入し、ちょうど運用をスタートさせたところです。ITサポートでキッティング作業をせずとも、利用者がすぐにデバイスを業務利用できる環境の構築にチャレンジしています。
あくまで一例ではありますが、新しいシステムを導入したり、コードを書いて自動化を進めていったりといった問題解決へのテクニカルなアプローチをもっと推進していく必要があると思っています。
もう一点、あえて悪く言うなら完璧なマニュアルはないし、日々イレギュラーが発生しますので、全てを1からゆっくり教えてあげられるわけではありません。裁量(自分で手を動かし、検証し、進める)があることを楽しめない人にはしんどい環境だと思います。
さいごに
―「こんな人に来てほしい」というメッセージとアピールをお願いします!
これは特に若手の方向けですが、自律して仕事をする心構えが身に付いたと感じています。仕事の方向性を決めていく中で、「なぜあなたはそう考えるのか」「その根拠はなにか」と問われ続けます。
これはトップダウン型の組織では中々身につかない、そしてできるだけ若いうちに習得しておくべき大事なスキルだと思います。私がモノタロウに来たのは29歳の時でしたが、20代のうちにその環境に身を置けたことは良かったなと思います。
モノタロウに来てからまだ2年半くらいですが、働きやすい会社だと感じています。年功序列的な理不尽さは一切ないし、距離感が圧倒的に近いフラットな社風。週報に対して、社長の鈴木さんや各部門長から直接返信が届く。入社して間もないタイミングでサクッと3カ月の育休を取れるワークライフバランス。早朝出勤や在宅勤務の制度。そして遠距離通勤に対するフォロー制度まで、すごく助かっています。
広く浅く、という自分自身のスキルは相変わらずですが、インフラ・アプリそれぞれのマイクロスキルを組み合わせることで、自身ならではの価値を発揮できる。フルスタックエンジニアを自称しても恥ずかしくないような、広く浅くをもっと広げていくというキャリアもあるよ、ということをお伝えできていれば嬉しいなと思っています。
現状維持をよしとせず、問題の解決策を自分の頭で考え、自分の手を動かして解決する、そういった環境を楽しめる方と一緒に仕事ができると嬉しいです!