【イベントレポート】monopo session vol.24 「Tatara Third-wave Award」 - 電通 多々良タツキさん / ありペーさん -
12月26日(月)に開催されたmonopo session vol.24の様子をお届けいたします。今回のSENPAIは、電通のプランナー多々良タツキさんと、聞き手にありペーさんにご参加いただきました。今回はいつもと少し趣向を変えて、多々良さんが選ぶ2022年のクリエイティブを発表していただきました。
SENPAIのご紹介
多々良 タツキ 電通|CM Planner / Copywriter
1989年浜松生まれ。広告、コンテンツ、空間デザイン、テクノロジーなど全領域プランニングを得意とする。ACC/朝日広告賞/読者が選ぶ新聞広告賞など受賞多数。 アニメと漫画が趣味だが、実は長距離自転車旅行とトランペットが吹けるという特技がある。2歳児の父。
ありペー Copywriter / Planner
1995年神戸生まれ。2017年某広告代理店に入社。タイム局担を経て、2020年にクリエイティブに転局。コピーを軸に、統合的なコミュニケーションを得意とする。YoungSpikesゴールド/ NewStars クリスタルなど受賞。 入社2年目で始めたTwitterはいつのまにかフォロワー4万人弱に。(@hcupadman)
きっかけは多々良さんのツイート
宮川さんのTwitterのTLに流れてきた多々良さんのツイートを見たのがきっかけで、今回のvol.24でぜひ多々良さんに発表してもらおう!と今回の企画に至りました。
「TATA」選定基準
最初に、多々良さんがどんな基準で今回の作品たちを選出されたのかについてお話しいただきました。
他のアワードを(多分)受賞していなくて、「憧れる/ワクワクする/新しい」、「合理/必然/高コスパ」を感じるものを対象としたとのことです。
受賞作品一覧
受賞作品はMOVIE部門とPROJECT部門に分かれて発表されました。
一覧は次のように多々良さんがまとめてくださいました。
MOVIE部門 受賞作品の紹介
sessionでは受賞作品全てについて丁寧にご説明いただきましたが、本記事ではいくつかピックアップしてご紹介いたします。
プロジェクトポッチャマ「Piplup Step」MV【グランプリ】
多々良:「ピカチュウが圧倒的な人気を保ち続けるポケモンですが、他にも人気なキャラを作ろうという意図でポッチャマにフォーカスが当たった「プロジェクトポッチャマ」の作品の一つです。元々実写版であった振り付けビデオをアニメーションでリメイクしたもので、作画はチェンソーマンのEDやPEOPLE 1の「常夜燈」でも話題になったイラストレーターのcoalowlさん。すごくセンスの良い方なんですよね。シンプルなキャラクターデザインだけどリッチな味わいがあって、chillな曲と相性が良いです。
これは引き算の表現を上手く取り入れていますね。今日他にも紹介するような素晴らしいアニメーション作品がたくさん生まれてきている中で、どう進化していくかという時にこういう表現があるんだなと思いました。
未来に向けてのクリエイター参加でもあり、新しい作り方でもあり、それがTikTokでもすごく影響力があったということで、これをグランプリにしました。」
FORTINET「Behind your success」
多々良:「これはバーチャルプロダクションと呼ばれる、大きなLEDを使って背景の映像を変える演出なども入れながらワンカットでやりきってる作品です。ロケっぽい質感なので、スタジオだったんだという驚きがありますね。
僕はバーチャルプロダクションってしっくり来てなかったんですが、こういう感じでロケに見えるような使い方の可能性もあるんだということを教えてもらいました。
この作品を観て思い出したのが『The Sunday Times: Icons』です。これも一発撮りで、フォレスト・ガンプやダフトパンクなど色々な映画の名シーンが繋がってる作品です。」
KANAURU「Bae's Grumpy Birthday」
多々良:「これは海外のVTuberのバースデーであまり反響がなくて怒っているという配信音声に、海外の3Dクリエイターが勝手に映像をつけた作品です。音声は、日本のVTuber事務所『Hololive』の英語部隊『Hololive EN』に通称"Bae"という子が配信していたものです。
3D x 8bitの表現が面白くて、デジットでやりきるのかと思いきや背景をぼかしていて、頭の中でデジタルとアナログが混ざっている人しかこういう表現gは想定し得ないはずなので、本当に新時代の表現だなと思いました。サイバーパンク的な世界観に慣れてないと難しい。
この作品のクリエイターであるKANAURUさんはオタク臭がすごいんですが、毎回新しい表現にチャレンジしていて何者なんだと思った人です。」
その他の作品については多々良さんがTwitterで紹介されています。
PROJECT部門 受賞作品の紹介
続いてPROJECT部門の発表です。映像作品以外の、リアルな場所を用いた企画などが紹介されました。
湯涌温泉「湯涌ぼんぼり祭り10周年」【グランプリ】
多々良:「これは金沢の湯涌温泉で行われるお祭の10周年なんですけど、このぼんぼり祭りは、最初は「花咲くいろは」のアニメキャンペーンとして始まったものが浸透していったものなんです。アニメで描かれているさまざまな神事も地元の神社が協力して実際にリアルでも行っているようです。
伝統を作るっていうのはやってみたいなと思っています。『あの祭、俺が作ったんだよね』って。いかに本物っぽく作ることができるか、作り込みの勝利ですね。」
MOGURA秋葉原「MusicUnity2022」
多々良:「Music Unityは羽田空港で行われたフェスです。前代未聞の、空港でフェスできるんだっていう驚きがありましたね。主催は航空会社ではなくMOGURAという秋葉原にあるクラブなんです。
元々Music Unityはコロナ禍で飲食や音楽業界が困っているからみんなを巻き込んで集客できるイベントをオンライン上でやろうと始まり、好評で続いていて2022年はついにリアルで開催されることになりました。
それでなぜ空港で開催されることになったかというと、2020年に新設された羽田空港の第二ターミナル国際線エリアがコロナ禍で閉鎖されていて2022年にまた開けるとなった時に、場所の告知をしたいという相談がMOGURAさんに来て、羽田空港で開催されることになったそうです。羽田空港ってご飯おいしいしフェスっぽいですよね。」
Uvalde Leader News「2022年5月24日」
多々良:「Uvalde Leader Newsはテキサス州の地元紙なんですが、2022年5月24日に史上最悪の銃乱射事件が起きた時に、翌日の新聞の一面がこの真っ黒なものだったんです。
事件のことは詳細に書きたくなるはずなんですが、銃乱射事件が多発するアメリカにおいて『まただよ』と思われないように、いかにあり得ないことだと衝撃を伝えるためのやり方としてよかったと思いました。
これはThe New York Timesだとできなくて、地元紙だったからこそできたアクションかなと思います。」
その他の作品については多々良さんがTwitterで紹介されています。
Twitterでもsession中に「知らない作品ばかり」と話題に
ハッシュタグ「#monopo_session」を辿ると、多々良さんの発表を見て反応する人たちが。
最後に多々良さんから、「みんな褒められると嬉しいはずなので、ぜひ皆さんも勝手にアワードを作ってみてください!」とのお言葉があり閉会となりました。自身の興味範囲外や普段接する人以外の発信など、もっとアンテナを拡げて見てみることが大事だなと実感しました。
多々良さん、ありペーさん、ありがとうございました!
執筆:石原 杏奈 freelance PR(@anna_ishr)
撮影:馬場雄介 Beyond the Lenz(@yusukebaba)
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