見出し画像

お悩み:自然な流れにまかせて上手くいくとは思えなくて、常に頭で考え続けてしまいます。

【初めての方へ】
催眠スクリプトは単なる物語であり、催眠的効果があるものです。どういう意味を持つものなのかというご説明と、ご使用上の注意を、以下の固定記事『ものがたりガーデンの催眠スクリプトについて』にまとめました。出来ればお読みになってから、お楽しみいただきたく存じます。
また、頭がぼんやりしたり、眠くなったりすることがありますので、車の運転や機械の操作等、注意を必要とする作業中には、決して読んだり聴いたりしないでください。

「自然な流れにまかせて上手くいくとは思えなくて、常に頭で考え続けてしまう」人のための催眠スクリプト


自然にまかせて上手くいくと思えないんですね。
自然にまかせておけない環境があったりするんですね。
だから、考えて対処せざるを得ないんですね。
これまで、「こうしないと」と考えて対処することで、乗り越えてきましたね。
常に頭で考えないとって、思うんですよね。

そんな人に、「シャボン玉」の物語が聴こえてきました。
その人は、ひとつの丸い「シャボン玉」を思い浮かべながら、その物語を聴きました。
そうすると、そのうちに、ある感覚になったといいます。
「どんな物語が聴こえてきたの?」と、思うかも知れませんね。
よろしければ、耳を澄ましてみてください。
「シャボン玉」が、ゆっくりと語り始める声が聴こえてきます。


5月の空気が、キラキラときらめいているように見えるのは、春に生まれたばかりの艶やかな若葉が、日に日に明るくなるお日さまの光を照らし返して、白く輝いているからでしょうか。
青く静かに流れる川面にも、明るいお日さまの光が反射して、時には眩しく感じられるほどに、無数の光が踊っています。
やわらかな風の音が聴こえ、閉じた瞼を温める陽射しを感じ、私は、喜びの絵を心に描きだしていきます。
それは赤く、青く、緑に、そして、あらゆる美しい色に、まるで歌うように揺れています。
心の筆が、無限の色彩を自在に塗り分けます。
自由な歌が、私を乗せて高らかに舞い上がり、水色の空高く、歌声を響かせます。
夢のようにゆらめきながら、そして無限の色彩に染まりながら、私は自由な歌に身を委ねて、閉じた瞼に心地よい陽射しの温もりを感じるんです。

あなたには、あの色彩が見えましたか?
私の心は透明だから、きっとあなたにも見えたでしょう。
シャボン玉の丸い心の、あの無限の色彩が。

あなたには、あの歌が聴こえましたか?
あなたの心の歌なのだから、きっとあなたにも聴こえたでしょう。
あなたの、空よりも高い心の、あの自由な歌声が。

あなたには、あのゆらめきが感じられましたか?
私たちはひとつのものですから、きっとあなたにも感じられたでしょう。
ともにやわらかな風に吹かれるのに似た、あの夢のようなゆらめきが。

きらめく空気の中、フーッと吹くあなたの息で、私は生まれました。
あの息を通して、私はあなたで、あなたは私でした。
丸いシャボン玉になった私を見て、小さな音を立てて新しく息を吸いながら、あなたは嬉しそうに顔をほころばせました。
私の目に映るあなたと、あなたの目に映る私。
耳を澄ませば、あなたの息をする音が聴こえてきます。
「息」は「生きる」に通じています。
あなたの「生きる」を宿した私は、丸い、丸い、シャボン玉です。

夏休みの子どもたちの声が聴こえる季節がやってきて、肌に夏の陽射しを感じます。
太陽の明るさに目を細めながら空を見上げるあなたには、あの5月に、巣の中でピヨピヨと鳴いていたツバメのヒナが、広げた翼に風を含んで、夏空に巣立っていくのが見えました。
山々の緑は濃く、人々が交わす朝の挨拶が聴こえ、人里の夏が盛りを迎えます。
畑には緑の葉が生い茂り、畑仕事をする人が、その手で葉をかき分ける音が聴こえます。
瑞々しく育った葉をかき分けると、そこに、丸くて、大きなスイカが見えました。
畑仕事をする人が、その手のやわらかい指先でスイカをポンと鳴らすと、低くやさしい響きが返ってきて、食べ頃になっていることを教えてくれます。
スイカは太く育ったツルに繋がっているので、畑仕事をする人は、ツルとスイカをチョキンと手際よく、慣れた手つきで切り離して、やわらかな土の上から持ち上げました。
すると、大きなスイカはずっしりと重く感じられ、大切に、丁寧に、スイカを運ぶ体に、力が入るのが分かるのかも知れません。

緑色に黒い縦じま模様の大きな丸いスイカの中には、シャリシャリとした食感の、甘い果汁に満ちたい赤い果肉と、たくさんの小さな黒い種が入っています。
私は呟きました。
「種は、本当に不思議だな」
そして、思いを巡らせます。
種を土にまけば、やがて芽吹き、生い茂り、黄色い花が咲き、大きなスイカの実をつけます。
そのすべてが、あの小さな、パラパラと軽い粒の中に、ギュッと詰まっているのです。
種は命の源です。
スイカは丸い果実の中に、ポンと鳴らせば優しい響きを返すその中に、そんな「生きる」を宿しているんだな、と、私は思いました。
シャボン玉もスイカも、丸いというだけで、他はちっとも似ていないと、人は言うかも知れません。
けれど、私たちはともに「生きる」を宿しているのだと、そう思うと、私は心に、ある感覚を覚えるんです。

夏の午後、水滴が滴るグラスに幾つかの氷が入っていて、そこに、シュワシュワと音を立てながら、ソーダ水が注がれました。
透明のグラスと氷が、夏の光にきらめいています。
小さな小さな気泡が、時折、グラスの底から上へと、音もなく浮かび上がります。
グラスの中で氷が立てる軽やかな音が響き、あなたはストローに指先を添えて、ソーダ水をそっとかき混ぜます。
やがて、あなたは、きらめくグラスの中で氷が立てる軽やかな音を、耳に心地よく聴きながら、ストローに唇をそっと当て、ソーダ水をひと口飲みました。
すると、とても美味しい味が口の中に広がりました。
そして、気持ちよく冷えたソーダ水が、喉を潤してくれるのを感じました。
あなたはふと、飲むことをやめて、グラスの中の氷とソーダ水をみつめています。
あなたは言葉にしないけれど、私にはその気持ちが分かるような気がするんです。
この美しいソーダ水を、いつまでも、いつまでも見ていたいと、そんな気持ちなのだ思います。
このまま、夏の光にきらめいた、美しいソーダ水をみつめていたい。
このまま、軽やかな氷の音を聴いていたい。
あなたは、時が過ぎるのを感じているのか、いないのか、きらめくグラスに眼差しを向けたまま、時折、氷の音を聴きながら、そっと指先を添えたストローで、やさしくソーダ水をかき混ぜるのでした。

あなたのその眼差しと、ソーダ水の中のキラキラと光る小さな小さな気泡が、時折音もなく浮かび上がるのとを見ながら、私は、言葉にならない感覚が湧き上がるのを感じました。
それは少し、熱いような感覚だったかも知れません。
あなたの瞳に、夏色に光るソーダ水が映っています。
おなたが音もなく瞬きをして、そっとやさしく、その艶やかなまつ毛を伏せる刹那には、瞳の中のソーダ水は見えなくなってしまいます。
けれど、再びパッチリと、私の好きなあなたの瞳が現れたなら、その中に、あのソーダ水が映っています。
私はあなたの瞳に見惚れて、そして、氷が立てる軽やかな音を心地よく感じます。
そうやって、あなたの瞳に映る、夏色に光るソーダ水を見ているんです。

開いた窓からサーッと風が吹き込んで、紗のように透けるカーテンと、あなたの髪を、やさしく揺らしました。
あなたはそっと髪に触れ、顔を少し上げて、サーッと吹き込む風を感じながら、明るい窓の外へと眼差しを向けました。
その時、あなたの瞳に映ったものは、風に流れてきたシャボン玉でした。
あなたは小さな音とともに、喜びの息を吸いました。
あなたの喜びの息の音を聴いたら、あのシャボン玉が、私なのか、それとも私ではないのか、そんなことはもう、たいしたことではないような、そんな気がしたんです。
無限の色彩に心を染める私の耳には、あの自由な歌が聴こえています。
美しく潤った、私の好きなあなたの瞳が、パッと一層明るくなって、夏の陽射しにゆらめくシャボン玉を映しています。
私はあなたに話しかけます。
風に乗ってゆらめきながら、あなたのそばへと飛んでいきます。

あなたには、あの色彩が見えましたか?
私の心は透明だから、きっとあなたにも見えたでしょう。
シャボン玉の丸い心の、あの無限の色彩が。

あなたには、あの歌が聴こえましたか?
あなたの心の歌なのだから、きっとあなたにも聴こえたでしょう。
あなたの、空よりも高い心の、あの自由な歌声が。

あなたには、あのゆらめきが感じられましたか?
私たちはひとつのものですから、きっとあなたにも感じられたでしょう。
ともにやわらかな風に吹かれるのに似た、あの夢のようなゆらめきが。

すると、あなたがにっこりと、うなずいてくれたような、そんな気がしたんです。
私の声が聴こえたのか、そうでないのか知ることは出来ないけれど、あなたは私に、やさしく手を差し伸べてくれました。
あなたの「息」を、あなたの「生きる」を宿した私は、心地よいゆらめきに身を委ねながら、懐かしい故郷へ帰るかのように、あなたの手のひらに引き寄せられていきました。
私の好きなあなたの瞳が、私をみつめてくれています。
そしてあなたは微笑みながら、やさしい声でたずねてくれました。
「おかえりなさい。長い旅はどうだった?」
そしてあなたは、その温かな手のひらで、私をそっと受けてくれたんです。
その刹那、丸いシャボン玉は音もなく空気にとけて、私はなんだか、生まれて初めて、魔法のように瞼が開かれたかのような、そんな感覚になったんです。


さあ、ひとーつ! 爽やかな空気が頭に流れていきます!
ふたーつ! 体がだんだんと軽〜くなっていきます!
みっつで! 大きく深呼吸をして〜! 頭がすっきりと目覚めます!


©️2023 Monogatari Garden


この記事が参加している募集

催眠スクリプトの作成を通じて、その魅力をお伝えできましたら嬉しいです!