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旅から眺めるエコ③: フランス プラスチック削減年表

今回のイタリア・フランス旅日記では、機内のプラスチックの削減(エールフランス)パッケージレスの店(イタリア)などに触れつつ、環境へのアクションが加速している様子を紹介しているが、個別の事例だけをあげてもあまり説得力がないようにも感じた。

そこで、今回は自分に一番馴染みのある国フランスを例に、2016年かのプラスチック削減政策を年表形式にまとめつつ、変化の様子を追っていきたい。

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2016年1月1日より:プラスチック製(50マイクロメートル未満)の使い捨てレジ袋の使用禁止。今後は、50マイクロメートル以上で再利用可能のプラ袋、紙、布製バックを用いる。

https://www.economie.gouv.fr/cedef/interdiction-plastique-usage-unique

これ以前もレジ袋は有料だったので、無料配布の禁止でなく、レジで使い捨てプラ袋を渡すこと自体が禁止に。

もともとフランスではマルシェ(市場)が根付いていることもあり、マイバック、カート、かごなどを持参で買い物に行く人が多かった。
↓南仏名物マルシェのかご


2017年1月1日より:レジ袋以外にも適用範囲を拡大。包装用資材に50マイクロメートル未満の非分解性プラスチックの使用禁止。また生物分解性でないプラスチック製封筒でのプレスや広告の送付も禁止。

https://www.economie.gouv.fr/cedef/interdiction-plastique-usage-unique


*生鮮野菜・果物の包装への適応は2022年まで待たれる。

この年にフランスへ行ったが、びっくりするくらいプラスチックが減っていた。鳥の丸焼きを買った時に、ロウ引きしていない普通の紙袋で渡され、ギトギトになって困った。

スーパーでは量り売りの野菜を入れるプラ袋が、紙に替わっていた。

旅行中、荷物の整理などにちょっとプラ袋があれば便利だなという時も、店でプラ袋を全然もらえないので、これ以降の旅ではプラ袋を持参することに。


その後も適用範囲は拡大されていく。

2020年1月1日より禁止:
・プラスチック製のコップ、グラス、皿の使い捨ての販売
・学校食堂でのペットボトル入り飲料水の提供(飲料水の入手が困難な場合を除く)。
・プラスチック製綿棒の販売

https://www.economie.gouv.fr/cedef/interdiction-plastique-usage-unique


2021年1月1日より禁止のプラ製品:
・紙吹雪、風船の柄
・ストロー(医療用はのぞく)
・ステーキ・ピック
・使い捨てカップのふた、皿、カトラリー、マドラー 

その他の政策:
・発泡スチロールの容器やボトルの禁止
・オキソ分解性プラスチックを使用した製品の取り扱い。
・公共の場やビジネス用途における、ペットポトル飲料の無料配布(公衆衛生上の理由を除く)。
・顧客による容器持ち込みの受け入れを、売主に対して義務化
・プラスチックによる過剰包装をペナルティ化

https://www.economie.gouv.fr/cedef/interdiction-plastique-usage-unique 及び https://www.ecologie.gouv.fr/lutte-contre-pollution-plastique

*オキソ分解性プラスチックは光や熱に晒されることで早く劣化するプラスチックだが、細かく散り散りになっても生物分解されず、マイクロプラスチックとして長期残留する。(参照サイト: http://www.jbpaweb.net/wp-content/uploads/2020/06/sankabunkaisei_iken.pdf

飛行機や街中でプラ製品が減っていたのはこのためだったのか、と納得。
↓飛行機で感じた変化

2022年1月1日より禁止:
・オキソ分解性プラスチックを使用した包装・袋の製造
・1.5kg未満のプラスチック包装の生鮮野菜・果物の小売販売 (例外規定あり)
・生分解性のないプラスチック製のティーバッグやハーブティーの販売
・ファーストフード店で無料配布するプラ製おもちゃ

その他の政策:
・(使い捨てボトルを減らすため)公共施設での水飲み場設置の義務化
・環境団体内にリサイクルのためのファンド設立

https://www.economie.gouv.fr/cedef/interdiction-plastique-usage-unique

生鮮食品のプラ包装に関しては、こちらに分かりやすく紹介されている。


今後のステップ(予定):
2023年:ファーストフード店でのイートインにおける使い捨て容器禁止の使用禁止

2025年1月1日までに、段階的に廃止:
・非リサイクル性のスチレン系ポリマーまたはコポリマーを使用したパッケージ。
・人口2,000人以上の自治体で、特定の医療サービスおよび学校・大学給食において、プラスチック製の調理・再加熱・配膳用容器の使用

https://www.economie.gouv.fr/cedef/interdiction-plastique-usage-unique

この辺りまでくると、フランス全体のプラスチックに対する意識も大部変わっており、推進しやすくなるのではと予想。私的には、日本でもスタバやマクドでもっと再利用容器の利用が増えればいいなと思う。

更に2024年以降は、ここまでやるの?という攻めた政策が続く。

2024年:マイクロプラスチックを含有する医療機器の販売禁止
2025年:新規洗濯機にマイクロプラスチックを抑制機能を装備する
2026年:シャンプー、リンス、クレンジング等、マイクロプラスチックを含む化粧品の販売禁止(スクラブ類は2018年に禁止)

https://www.ecologie.gouv.fr/lutte-contre-pollution-plastique


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政府発表の記事でなるほどな、と思ったのは、フランス政府はプラ政策を新たな産業、雇用創出機会ととらえている点。(参照サイト:https://www.ecologie.gouv.fr/archives-presse-2012-2017/Interdiction-des-sacs-plastique-au.html

2016年のプラ袋禁止前の発表によると、レジ袋の8割は輸入品とのこと。また、2021年からは使い捨てビニール袋の製造・輸入が禁止されている(参照サイト:https://www.ecologie.gouv.fr/lutte-contre-pollution-plastique)石油系プラスチックの輸入をやめ、自国で代替素材の開発や販売、またはリサイクルのシステムが拡大すれば、経済面でもプラスになる。

日本ではプラ包装が溢れているが、「これ全部を廃止したら、関連団体からの圧力がすごそう…」と常々想像していたので、フランスの政策が妙に腑に落ちた。ここまで大きく舵をきれたのは、プラスチックを輸入していたところも大きいのかもしれない。
日本のメーカーも色々技術を持っていると思うので、代替素材の開発、プラを削減した輸送システム、プラ再利用システムなどを、ぜひ開発・発展させていってほしい。

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今回の記事執筆には、いくつかのインターネット記事を参考にした後、フランス政府のHP(経済・財務相:https://www.economie.gouv.fr、環境省:https://www.ecologie.gouv.fr)を、翻訳ソフトDeep Lの力を(かなり)借りながら参照しました。

正確な情報になるよう気を配りましたが、記載内容に誤りがある場合は、教えていただけますと幸いです。

2022/11/6 22:55 加筆 修正


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