ゴールデン便り
10月の土曜日の午後、ふと思い立って、いつものウォーキングコース以上に足を伸ばしてみた。
身体のコンディションもそれなりによく、階段と坂を上って行っても大丈夫そうな気がしたから。会いたいコたちがいるだろうところへと足を向けた。
すると、坂の途中でばったり知り合いとその友人に会った。
彼女と顔を合わせたのは6月以来だった
彼女は元のご近所さん。
親類との色々で引っ越しを余儀なくされたのだが、地域猫に餌をやるために、数年の間はよく元の家の近所にも通っていた。やがて、その猫たちに餌やりしていた辺りにも新しい建物が建ち、それ以前に猫もいなくなって、顔を見る機会が少なくなった。
友人と言えるほどの関係ではないものの、10数年ぶりに彼女のお母さんを訪問した際に同席してから、少しだけ距離が縮まった気がする。
わたしが会いたかったコたちは、もういないと、彼女たちの口から耳にした。
それでも、念のため……と、さらに進んで行ったものの、やっぱり彼女たちの言ったように、わたしが求めていたコたちは見当たらなかった。
あきらめて、来た道を下って行くと、まだゆっくりと歩いていた彼女たちに早くも再会。
ここは、挨拶して、先に行くべきか、それとも合流するべきか……と、一瞬考えていたら、彼女たちの連れの犬2匹のうち、1匹がわたしの方へ歩いて来た。
「こっちに来なさい!」
友人の方が犬に呼びかける。
「ゴールデン?」
「そう、ゴールデン・レトリーバー。両方ともメス」
「2匹は姉妹なの?それとも、母娘なの?」
「それが、ちがうの。まったく血縁関係はない他人(犬)」
「へぇ。何歳?」
「こっちのシヴェリアが3歳、あっちのシッラは8歳」
「3歳のコの方が大きいのね」
「ハハハ、そうなのよね。どちらも適正体重よりは重いのよね。今週、獣医さんのところにシッラを連れていったら、先生に『このコは大き過ぎるよ!病気にならないように減量しないと!』って言われたわ。いや、3歳のシヴェリアはもっと大きいんですけど~って、言えなかったわ。ちょっと獣医さんのところにこのコを連れて行くのがおそろしいわね……」
わたしはふと、こんな風に似ている2匹を撮ったことがあるなぁ……と思い返し、もしかして、彼女とこの2匹を見かけたのは、はじめてではないのかも、と時を経ての偶然に密かに楽しい気分になった。
(が、追って、ワンコ記録を見返したら、『似ている2匹』はゴールデンではなかった)
しばらく2人と2匹とご一緒した後、彼女たちの散歩はある地点で終了し、解散となる。
「じゃあ、またね!」
「またね、お母さんによろしくね」
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先日、パスクワ(イースター・復活祭)の贈り物を渡すために、元ご近所さんの彼女とその年上のパートナーにちらっと会った。
色々と彼女の家族の話を聞いた後、サプライズ発表が。
「あ、実は、5月に結婚することになったの」
「わぁ、おめでとう!それはお祝い事がいっぱいでいいことね~」(彼女の姪はプレママン)
「えぇっと、彼も喜んでいるといいのだけど……」
後ろを振り返り、車の運転席に座ったままのパートナーの方に目を向けた。
「こじんまりとごく身内だけでね。クリスマスの夕食のような会食をね」
まさにゴールデン便りだ。
彼女のお母さんの家にいるのは、ゴールデンではなくて、そのワンコ狂暴につき……と恐れられているシバイヌ(柴犬)だけれど。
(冒頭の犬は3歳のシヴェリア)