そこはもう、ふるさとって呼ぼうか
ピーンポーン・・ピーンポーン・・・、はい?
祝日だった先日、朝の家事が落ち着いたところでインターホンが鳴りました。
休日の午前中に届く宅配便は、なぜか”良いもの”のような気がします。しかも、ネットショッピングで買った品物の心当たりがない時には、ちょっと心が浮き立つ感じがします。
受け取ってみると、クール便のシール。しかも冷凍されていました。寒い冬に、冷凍して届けるとは・・ラベルを見て、思い出しました。
茨城県笠間市からの、ふるさと納税の返礼品でした。
その中身はこちら。
どーん。(重なっていてこの下にもありました)
ふるさと納税のサイトで検索して見つけた、モンブラン。その名も「笑っちゃうほど美味しいモンブラン」。ほかの自治体でもモンブランはいくつかありましたが、このネーミングにやられました。試さずにいられない・・。
茨城県笠間市といえば、関東有数の栗の産地。コンビニスイーツでも、何度か見かけた栗の産地。
試しに調べてみたら、栗の生産量1位は、なんと茨城県でした・・知らなかった。恐れ入りました。
利平栗で有名な熊本県や、将軍家に献上されていた小布施の栗の長野県が1位だと思っていたのですが、茨城県は国内で生産される栗のうち約25%ものシェアを占めていることがわかったのです。
そんなことも知らずに、ふるさと納税でモンブランもらっちゃお♪、などと軽々しい理由で笠間市に申し込んだ自分がやや恥ずかしいと思いつつも、この巡り合わせに感動すら覚えました。
早く食べさせてくれ・・・。
が、冷凍モンの解凍は“冷蔵庫でまる1日“との注意書きも。“笑っちゃうほど美味しい”までには、時間がかかるのですねぇ。
結局、待ちきれず常温でも解凍開始(笑)
キッチンの隅っこにモンを置いて、素知らぬ顔で午前中を過ごしました。
そろそろいいかと、爪楊枝でチェックするも、マロンクリームだけしか溶けていませんでした。
しかし、口はモンブランになっているので(だいたい、いつでもそうなりがち笑)、まぁいいかと食べ始めることに。
子どもたちには適当にお煎餅やポテチを皿に乗せて渡しておきながら、自分はキッチンの片隅とはいえ、子どもたちの背後でモンを食べるという・・・まさに、背徳感。
どどん。
キッチンの調理台の上だから、卵の残りがしっかり写っていますね・・。
洗い物をするついでに、アールグレイも淹れました。さあ、来い。
モンは、ただならぬ存在感を放っていたように見えました。それは、まさにモンが生きていたからだったのです。
つまり、解凍が進むにつれて、マロンクリームの重さに耐えられず中のホイップが潰れて横に膨らんだような形に変わっていました。たぶん、普通の人なら気がつかないかも(だから、僕の思い込みである可能性が高い)。
そんなこんなで、子どもたちがおやつに釘付けになっている間に、モンを食べなくては。
フォークで刺すと、やはり解凍がまだで、中は硬い感じがしたものの、なんとか縦に裂けたので全体をひとくち。
冷たっ!
口の中に、フワーッと淡い栗の香りが広がって、マロンクリームがざらりと残りながらも溶けていきました。中はホイップ、台はメレンゲの伝統的なモン。
へぇー、美味しいなぁ。
僕は、笑っていたかどうか分かりませんが、きっといい顔をしていたでしょう。とても美味しかった。冷凍だからと期待を低くしていたのも奏功したのかも知れません。
マロンクリームは、かなりの割合で栗が使われているような食感と甘さでした。ホイップは軽めで、中にココア風味の餡子のような塊が隠れていました。
冷凍の場合、栗の甘露煮はとても食感が悪くなるので入ってはいないと思っていましたが、ココアのアクセントは想像していませんでした。美味しい。
台のメレンゲも、クリームの水分を吸わないように、クリームの乗っている部分だけをビターチョコでコーティングしていました(これもかなり芸が細かいので、僕は好きです)。
お店によっては全部をコーティングした台もありますが、それだと硬くなって食べにくくなってしまうのです。
メレンゲも甘さ控えめで、しっかりと焼いてあり香ばしさも感じられました。
大きさのボリュームはあるけれど、どれも甘さがコントロールされていて(甘いことは甘いんですけどね笑)、食べた感じは軽かったです。さらに、素材の味がそれぞれわかるモンでした。
僕は、オシャレなモンに時々ある突飛な味が苦手なのですが、このモンにはありませんでした。ある意味では予想通りの素材の味、それがしっかりと感じられたからこそ、安心して食べられました。
食べ終えて、美味しいモンだったなぁと余韻に浸りながら、同封のチラシを見て、驚きました。
そのモンを作ったのは、ケーキ屋さんではなく、フレンチのレストランだったのです。
栗の名産地のパティシエが、素材を贅沢に使ったモンを作って「笑っちゃうほど」なんて自信満々に提供されたのかと思っていたのですが、まさかレストランとは。
正直、こんなに美味しいモンが作れるならば、ほかの料理も美味しいはず。作り手は、一体どんな方なのでしょうか。そして、このモンを作るまでに、どれだけの試行錯誤をしたのでしょうか・・・予想以上に美味しかったので、つい考えてしまいます。
観光マップは、栗のお菓子仕様。地域の名店の栗を使ったお菓子や料理がたくさん載っていました。モンだけでなく、かき氷、焼き栗、おまんじゅう、クッキー・・・モンを作ったフレンチのレストランには、栗づくしコースが用意されていました。
思わず、スマホのぐるぐる先生(Googleのこと。子の呼び方を採用)に聞いてみたら、稲城から2時間足らずで行ける場所でした。これは・・栗の季節に行くっきゃない。
栗だけでなく、笠間焼という焼き物も気になるし、子どもたちにも、ぜひ栗を好きになってもらいたいと、一方的に願うばかりです。
モンを食べたいから、なんて軽い気持ちで寄付したら、行ったことのない“ふるさと”に出会った思いがしました。
栗の名産地、間違いなく、栗が大好きな人たちが、大切にお菓子や料理を作っているはずです。そんな仲間に加わって、お腹いっぱい栗を食べに行きたいと思える、そんな、ふるさと納税の思い出ができました。
返礼品のモンを作っていたお店
面白い発音、と思っていたら写真で言葉の意味が分かりました。亀、なんですね。
ほんとうに美味しいモンでした。ごちそうさまでした!(まだ2個あるけど、子どもたちにも食べて欲しい)