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Vol.8/理解と虚無感

M先生のもとを初めて受診したのは、4月上旬のこと。検査入院は、その約10日後だった。それまでのおよそ10日間、母の様子見を兼ねて、だいたい一日おきに母の家を訪ねた。気持ちが変に落ち込んでしまってやしないかと気になっていたのと、もしも気落ちして心を折るようなことがあれば、今後の受診や治療にも影響が出ると考えていたからだった。

おそらく、多くの他人は、私のこの行動だけを見れば、娘としての優しさだと考えるかもしれない。少なくとも、母の妹のゆきさんは、私をそう見ていた。でも、実際は、ただの思いやりというよりは「母の面倒を見たくない」という思いのほうが強かった。私は、ゆきさんが思うほど、《優しい娘》なんかじゃあない。

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2,765字
胸の奥に今もまだ残る母への確執。その母の肺がん発覚。治療内容を含めて、それからのことを赤裸々に。

肺がんになった母の闘病記兼忘備録

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