美と、花と、人のこと
先日、メールをもらった。
劇場で知り合った、30年? いや40年いってるな、
ストリップ劇場に通うおっちゃんからだ。
Homeだと思っている劇場で最初に声をかけてくれて
劇場や常連さんと親しく挨拶させていただくきっかけをくれた方だ。
いわば社交ダンスのダンスパーティーで最初に「Shall we dance?」と声をかけて下さった方。
実際は、そんなお洒落に誘ってくれたのではなく、
缶ビールをくれて、「呑めるねやろ? いひひひひひ」というのがきっかけだったのだけれど。
そんないつもニコニコしているけれど実はとてもintelligenceでいろんなことを考えていて、時折、ちょっと深い話を送ってくれたり、やりとりをする。紳士が。
「なあなあ、なんで〝桜と薔薇〟なん? ええな」
以前悩みながらも書いたことについてだ。
あのときも思い出話と共に素敵なお言葉をくださった。
「すべての花はステージに立つ踊り子さんそのものや」って。
そしてこの度も、「えーわ。姐ちゃんと客、華と儚さみたいで」。じぃんとした。
そんなことをここに書こうと思ったのはやはり、日曜日に観たNHKのど自慢で
布施明の『君は薔薇より美しい』を歌う人を観たからかもしれない。
最近よくここにも書くように、つい「のど自慢」を観てしまう。
好きかと言われるとわからない。
観ないこともあるし、家にその時間居ても「今日はもーいっかなー」と思うこともある。思うことの方が多いかもしれない。
特に気合いを入れて観るものでもない。
でも「ま、観てみっかー」とテレビをつけると、もうあかん、
観てしまう、泣いてしまう、笑ってしまう。あかんのだ。
決して「美」「完璧」ではない、むしろ逆の方が多い出演者たちに、でも、だからこそ。
想いがあふれる、あふれすぎる、あふれすぎてツッコミどころ多すぎるそのさまに。
時に、会話通じひんやろなー、とか、たぶん一生出会うことないかもしれないなー、や、も含む、全国各地の名も知らぬさまざまな人々の〝舞台〟に。
それを別の番組と絡めて〝みんなの〟〝私たち〟の舞台みたい、という話は、先日も書いた通り(コレ)なのだけれど。
美しさってなんだろうということをよく考える。
美、それは洗練されたもの、ととのったもの?
研ぎ澄まされ、感性と知識と技のすべてで〝極めた〟もの。かなあ?
丁寧に、丁寧な、というのも近しいかもしれない。
今、私がストリップの世界で愛してならない、
って、なんか言い方かっこつけてて私らしくなくて自分でもピンと来ないな、
大好きな! 踊り子さんのStageにはそれを感じてならない。
何事にも飽きっぽい私が5年ほど?
観・追っかけさせていただいているのだが、
何度観てもその気持ちが増し、更新される。
楽しい嬉しい、と、共に姿勢を正される。
Stageと人柄と、Stageへ向き合う姿からいろんなことを感じさせていただいたり学ばせていただいている。
何を観ても好き勝手言ってきた己が「大好き」と公言し、
好きすぎてへたな文がよりへたになるそのひとは、
やさしくてつよくて、
完璧に近いけど人間で、お茶目(死語)でcuteで、
やはりやさしくつよくて、本当に「会えてよかった」、だ。
美とステージと、今はその〝人間〟なところ(?)が好きでたまらない。
美にためいきをつく。つきたい。出会えると、しあわせだ。
と、共に。
でも。なんだろう。なんでだろう。
同じくらい、
洗練されたもの、ととのったもの、でないもの
研ぎ澄まされたり、丁寧ではないもの、それも、美かもしれない。
とも、思ったりもする。
美じゃないけど、美。それも、美。なんじゃないか。違うけど。
うん、それは美じゃないのだろう。でも、だから、それでも。
てか、そもそも何かを美と感じること自体が個々の主観で感性、決めつけで傲慢なことなのかもで、
ともすりゃ美を美だと思う自分に酔ったりもあったりもするわけで、
もはや私は何を言っているのだ、ですが。
なんだかね、
いや、どちらも表裏一体というか、
どちらもがどちらもの顔を持っているのかもしれない。
同じなんだ、きっと。って。
そして、
劇場にはどちらも、どれも、あって。
だから私は、時にばてたりしても魅了されているのかもしれないな、と、思っていて。
みたいなことを、書こうとしていて、途中で止めていた。
書こうとしたきっかけは、
いつも大好きな踊り子さんのStageを観せていただいている劇場たちでStageと、皆と、その空間に想っていることで。
そして、
先週の水曜日に訪れた美しい空間で感じた話した余韻で。
と、更に。
昨夜、短い時間ではあったけれど永遠みたいな時間を過ごさせていただいて、また、思ったりした。
ので、なんにもまとまっていないけれど、もうこれで置いておくことにする。
全然美しくなくて泣きたいけれど。
『世界に一つだけの花』とかいう歌が流行った時は鼻で笑っていた。
オンリーワン? ナンバーワンがええやろが! って。
その気持ちは、いや、その気持ちも、変わらない。
でもね、やっぱり、皆、花。花なのだと思う。人間は。
可憐だったり、きれいだったりかわいかったり。
毒を持っていたり。共存できなかったり。互いに吸い取りあったり。
咲いたり、まだ咲いていなかったり、散ったり。
凛と一輪立っていたり、時に群れるそのにおいがきつすぎたり、
プツンと切られたり、一緒に咲けなかったり。
人工的に植えられたり。勝手に乾かされたり。増えたり。異常発生したり。
でもやっぱり同じものはひとつとしてない。
いろんな花。桜と薔薇で、桜で薔薇。 みたいな。
出来れば皆が一緒に咲けますように。
それは無理かもしれない、
たぶんマジ無理なことなのかもしれないけれど。
でも、だから、それでも、書いておきます。
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大阪の物書き、中村桃子と申します。
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
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