出会いについて、と、柚木さんの伝えたいこと(たぶん)~『幹事のアッコちゃん』~
大人の女の子は魔法のコンパクトで変身なんて出来ないけれど
素敵な出会いは「私」を変える―
ランチのアッコちゃんシリーズの第3弾、
『幹事のアッコちゃん』が出ていることを今更知り、読みました。
コロナの渦中だったのもあり、元気をもろて、ちょっと泣きました。
うん、出会いは人生を変えるんだ。
柚木麻子さんの『ランチのアッコちゃん』シリーズは
ドラマ化もされた人気シリーズです。
正直でまっすぐだけれどさえない派遣女子の三智子ちゃんが
元は上司、その後、移動販売の店「東京ポトフ&スムージー」を立ち上げ
全国展開する溌剌女史アッコさんに出会い成長してゆく物語。
タイトルの由来は第1話で
しょんぼりと生きてきた三智子ちゃんに上司のアッコさんが
「あなたのお弁当を1週間私と取り換えて。
そのかわりにあなたは1週間私が毎日ランチに行く店にかわりに行きなさい」
という謎の(でも後々わかる、この意味を!)提案をする……というところから。
ということで美味しそうな料理が続々と登場し、
美味しそうと、明るく楽しい、と、
背中を押されて元気が出るがいっぱい詰まったシリーズなのですが。
楽しくって元気が出るシリーズだということでちょっとナメていたところもあります。
……というのは柚木さんの『ナイルパーチの女子会』が超面白かったので
いわゆる〝黒柚木〟にハマってしもたので。
第3弾も、どこか、「うん、いつものあの感じやろなー」と思っていました。
ところが、間違いでした。
『ランチのアッコちゃん』『3時のアッコちゃん』ときて第3弾『幹事のアッコちゃん』
この第3弾が、違う球を投げてきたのです。
3作目に登場する人物……
アッコさんに背中を押されて人生を変えられる人物はちょっと個性的なのです。
勿論、永遠のヒロイン、永遠の部下である三智子ちゃんも出てくるよ。
けれど、他の人物はというと、人生投げやりだがまあまあ小器用なサメた男の子だったり、
ばりばり働くアッコさんに敵意を抱きマイナスイメージな記事を書いてやろうとやってくるライターだったり。
さらに完璧女史だったアッコさんのよわいところやピンチも描かれている!
シリーズ3作、堂々の完結(たぶん)です。
これまでで一番グッと来ました。本音です。
ああ、やっぱり、出会いは自分と人生を変えるのだなあ。
ちょっとした出会いや、ちょっとしたきっかけで、変わるのだなあ。
読んで、ふと、上司というか物書きの恩師たちのことを思い出したりした。
いっこ前の記事にはスピーチライターな女史とヒロインを描いた一冊のことを紹介したけれど、ほんとに偶然、「素敵女史との出会いで人生変わる」みたいな小説を読んだからやな。
思い出して、しみじみしたり笑ったりしました。
そんな恩師たちのこともこのnoteに書いてみようかな、などとも思ったり。
(もうなんでもありやな)
ここのところ、すごくハマってしもうた柚木麻子さん。
アッコちゃんシリーズをはじめとした元気で楽しい作品と、
ナイルパーチなど〝黒柚木〟な作品と、まあ、なんて様々!
でもでも、どちらもを読んで思いました。
どの作品にも「自分がいる」……と思わせる力がすごい、と。
柚木さんはたぶん物語を通して、皆に生きる力を送っている、戦いのエールを送っている。
戦い、という言葉はとても軽くなるので使うのは嫌なのだけれど。。
他人や自分自身から「かくあるべき」みたいにされたり思いこんだりしている自分、
そこから抜けよう、変わろう、変えてもいいんじゃない?
いろいろあるけどあなたはあなたらしく、
そうであるべきやろうし、そう生きていいんじゃない?
弱くてもいいし、他や自分自身から押し付けられ
ちいさくなってるなんてつまんないじゃない、「らしくハッピー」を見つけましょうよ♪
ちょっとちゃうかもやけれど、
私にはどの作品からもそんなエールを送られているように感じます。
悩んでいる人や生きていく上で心になんかがある人を励ましたり勇気づけたり。
らしくあることが出来ない世の中に筆ってか言葉でニコニコと立ち向かうみたいな作家さん。
そんな柚木さんの作品と出会えることも「私を変える出会い」やねえ、なんて。
なんかすごく「らしくなく」ベタでキラキラなことを書いてまいましたが(笑)
私もそんな人になれるよう、そんな物書きが出来るよう、と思います。
良い出会いをたくさんもろてるからこそ、良い出会いにしていただけるよう。
人間力も、筆の力も、まだまだやけど、うん、精進します(笑)