アイドル 紅白の蘭ちゃんとおじさんたちと恋と愛と豊
紅白歌合戦の伊藤蘭を観て涙がぶわーっと出ていた。
正確に言うと違う。
紅白歌合戦の伊藤蘭とその応援さんたちを観て涙が止まらなくなった。
あたりまえだが世代じゃない。
でも懐メロ番組に長年も長年かかわってきたのもあり、昭和歌謡には詳しい。
キャンディーズ? 好き。拓郎も好き。って、わたしのそんなことはどうだっていい。
紅白は毎年観る。
でもこの数年のわたしの怒りはMAX of MAXだった。
歳をとったからだ。
違う。
あきらかにネット民のバズりを期待してる感を感じるからだ。
それの何が悪い。悪くない。それでええ。
でも年寄りはどうなのよ。
例えばテレビしか楽しみや娯楽のない年寄りたちがこれを観てどう思うのよ。
え? テレ東の『年忘れにっぽんの歌』を観ろ? せやな。せやね。
せやけどそうやって「選択」出来る柔軟性を持つ年寄りってたくさんいるんやろか?
選択出来ることが偉くて出来ないことは駄目なんやろうか?
おもんないけどこの時間やこの日にこのテレビを観るっていう年寄りは少なくないんやないか。なのに。そうなん? 何? 年寄りは楢山へ行けと? そうなん? そうしか出来やんの?
楢山のお山で座りそのときを待つ年寄りと、番組に興味もないけどバズりだけ楽しみにしている人たち、それでええの? ええんやろう。
この問題はこれだけじゃないけどさ。ポケビとブラビ? はあ~?!(※世代やけど笑)
という問題は今はさておけないけどさておいて。
年下の男の子。ハートのエースが出てこない。春一番。
「ランちゃーん」(68)!
泣いた。あっけにとられて。
気付けばぼろぼろ涙が出てた。
まずは謝罪をする。
勝手に思い込んで決めつけていたことに対して。
紅白に出ると知ったとき、わたしは超ディスった。
「どーせ豊が出てくるんやろ?」
なぜかわたしはとても水谷豊を嫌う。
たぶん歌が下手だからだ。下手なのにどや顔だからだ。
そしてロングロング相棒だからだ。あの紅茶の注ぎ方。マネするけど。
(どうでもいいけど初めての呑み屋でママと相棒右京さんの悪口で盛り上がった過去もある)
豊が出てきてさ、どや顔で花束なんかを渡しちゃうんじゃないか、って。
ほら、朝ドラで娘さんも大好演してるしさ。
娘さんとおかあさんの共演競演かな、なんてね。
あっさいね。えっらそうに。謝らなな。
いざ紅白。
伊藤蘭オンステージは、
彼女とたくさんたくさんの彼女を愛するファン(のうち、この日この会場に集った集えた人びと)とのそれだった。
というのが、映った瞬間、「!」となった。
なんてきれいなんだ。
先程、敢えてわざと(68)と書いたのは褒めとリスペクトでしかない。
つるっつる、ぴっかぴかのランちゃんが、若き日の、歌たちを歌う。
スーちゃんもミキちゃんも居ない。
けど、気持ちや魂はそこに居る。
なんてスピなこと言うのはわたしは好かんから言わん。
豊もおらんけど(しつこいな)
でも、そこには、あの頃からのずーっとのファンが居る。
めっちゃ居る。
その場に居る。
テレビの前にも居る。
おっちゃん、いや、おじいになったファンたちが。
リボン投げてる。違う。紙テープ投げてる。
「ランちゃーん!」
全キャン連!
という言葉はこの日のこれを観ながら知人から教わった。
その後、めっちゃ検索とかした。泣いた。
も、さておいてさ。
これってさ。
言葉にしたら「愛」じゃないんかな。
「愛」
それでしかないんじゃない?
違うかもやけど。でもきっと、めちゃ。
なにこの空間。年上の男の子たちの。
(このフレーズ、絶対誰か使うやろうと思ってたらやはりスポーツ紙だったかネットだったかが。でも使う)
2023.12.31、NHK、紅白という舞台。
涙が止まらなかった。
遠征民とかも、いるんかな。
前日から寝れへんっていう人も、少なくないんやないかな。
いつぶりに会う仲間とか。
推しのハレすぎる舞台だから緊張とか気合いとか準備とか、
そんな連絡をし合ったりとか、するのかな、したのかな。
ほんとはキャンディーズでランちゃん派ではないねんけどでもでもね、とか、
そんな人もおるんかな。
年末年始家族にたくさん言い訳をしてきたひととかも、もしかしたら、少なくない?
復帰復活コンサートはあれど、あれども、紅白、この日、この日だから。
いくらもう、オワコンとか、事前にも事後にも言われようとも、勝手に決めつけられようとも。
法被とかテープとか。
気合い入れて準備したんかなあ。
やろうなあ。
このステージっていうか出番が終わったら(推しを除く)皆で打ち上げの呑み会かなあ。
もう、うれしくて、てか、冷静さなしの高揚感でめっちゃ呑んだりするんかなあ。
するんやろうなあ。
おつかれさまやなあ。
で、だから、な、呑んじゃうよなあ、MAXうれしいよなあ、もう最高やんなあ。
「ランちゃんと、俺たち、と、テレビの向こうの仲間たち、と、テレビの向こうの皆」
うん、テレビの前の皆も呑んでるかもやんなあ。
それ、そんなが、伝わってくるような、気がして。
あの「画」から。映像から。
なんでって言われたらわからへんねんけど。
こういうのを観てこう書いたりすることすら、
エモの消費だとか搾取とか(いろんな方面とか意味で)いう人や意見もあるかもともわかってはいる。
でも、でもそれでも。てか、そんな言葉で決めつけるなようるせえ。それはわかるし考えていかなくてはいけないことだ。でも今こちらがどう受け取ったかまで否定や統制をされることはそれは違うと思うから。
さらに、「連」やグループの中での人間関係やいざこざも、そら、そりゃ、そりゃあ、あるやろう、とても。めっちゃ。まあ、そりゃとても。めんどくせぇな。うっとーしーな。でも、でもある。 愛だからこそ。いるんだよ。他を蹴落とそうとするやつがな。他を無視や排除をしてでもしながらいい顔をしたりするやつがな。いるんだよ。どこにでも。そこにも。必ず。歪んだ愛。
愛って言葉はでっかすぎるし、厄介すぎるし難しすぎる。
けれど、けれども。だから、それでも。それでも、だから。
ハートのエースが出てこない。
みんなエースじゃないけどエースなのだ。
エースだけどエースじゃないのだ。
恋をしているのだ。
し続けられるのってしあわせで、奇跡で、すげえことなんだ。
その空間と、一期一会と、持続可能な社会と愛と。
絶対嘘じゃないんだ愛してるんだ。
*
個人的なツボは謎のQueenと座長大会みたいだったRusty Nailです。
聰については触れませんよ笑
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【略歴や自己紹介など】
構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。
普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。
劇場が好き。人間に興味が尽きません。
舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。
某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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