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いい仕事って とある老舗の中華ランチに

いい仕事っていいなと思った話をしたい。
ちょっといい中華料理屋で食べたランチのことだ。
 
ちいさな卵スープからもう嬉しくなった。
くどくなくて油っこくなくてカニの味がちゃんとするしつこくない。
あんかけ焼きそばもうるさくなかった。
焼きそばは特に好きではないし自ら選んで食べはしない。
でもどのセットにも付いてくるそいつは
多すぎず重すぎず主張しすぎず100点やないか。
辛くもなく変にスパイスでごまかしてもなく
あんかけのあんのスープが主張しすぎずちゃんと馴染んで絡んでいた。
たくさん具が入っていたという訳ではないのも単品じゃないからいい。
幾人かで御馳走になったのだが、
分けて食べた揚げものとか麻婆とかも全然重たくうるさくしつこくなかった。
麻婆って意外と油っこいというか結構来るのが多い気がする。
もしくはよくもわるくもスパイスフル。
いやスパイスは好きやけど。
その主張がなかった。
やっぱりちゃんとベースのスープがしっかりしているように思えた。
ご馳走になった訳なのでお支払いを己でしてはいないが、
ランチにしてはお安くはなくお高い訳でもないかもやけど、
この値段ならというかこの内容ならこの値段やなって
納得というか「高くない」だった。
 
いい仕事やなあ。

いい仕事なんとちゃうかなあ。
 
奇をてらってもない。殊更に主張してもいない。うるさくない。
「なにこれおいしい」
我がが我ががじゃない。どや顔してない。くどくない。
「ちゃんとおいしい」
なんだか気持ちがほころんでその日は午後からもずっと
おだやかにすこやかに居た居られた気がした。
身になり気持ちになっているような気がした。
 
いい仕事っていいなあ。
 
町中華という言葉がここ最近よく言われるし、
それは某テレビ番組の影響も大きいんだろうし、
そういう店もとても好きだ。
「大衆」「大衆的」いいよね、美味しい、わいわいする、できる。
町中華だってなんてことないチェーン中華だって、
王将だって日高屋だって福しんだって王将だってぜんぶいい悪いなんてない。
それらが食べたいときとこれらが食べたいときがあって
それぞれがそれぞれにいいところがあって、
シーンに合わせて気持ちやテンションや財布やいろいろに合わせて
どれも「いい仕事」だと思う。
 
でもそのような中で。

「しっかりおいしい」「ちゃんとおいしい」

やはり、うれしい。

そのようなだからそのような値段ということそれもいいそれがいい。
 
いい、よかった、と、思ったから写真は撮っていない。
 
大層で過剰な褒めや持ち上げが似合わないというか
それらをすることで品を下げてしまいそうですらあるなと思わされた。
 
いただいてから何日か経つのだがまだなんだか気持ちに残ってもいて、
ふとお店を検索してみたらHPに載せられていたご挨拶の文句が
すぅっと入ってきた。
 
≪一瞬で過ぎる流行よりも、ずっと残る伝統を大切に≫
 
いい仕事は仕事としてはあたりまえであたりまえのことなのだけれど、
深くて、遥かで、しゃきりとさせられ身に気持ちになるうれしい。


◆◆
構成作家/ライター/エッセイスト、
momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
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