ラムネの玉やんの唄 朝日新聞小泉信一さんのこと
どうやらわたしは誰かのことを思い出すとき顔と共に歌が浮かぶらしい。
声、顔、選ぶ歌の内容、エピソード。
歌っていたときのこと聴いたときの空気。
そのひとの場合は、藤田まことの1曲だ。
十三のねえちゃんの歌ではない。ラムネの唄だ。
曲間にセリフがある。大阪のラムネ売りのおっさんの売り口上だ。
「冷やこいで、冷やこいで」
昭和文化。昭和歌謡。酒場。芝居。寅さん。プロレス。ストリップ。銭湯。
ずっと記事を読んでいて、あれも、これも、「ああ!」「わあ!」。
この夏亡くなられた大先輩ジャーナリストが紹介して下さった。
いい具合いい意味でいけすかないというか、
いい意味で食わせ者風なところがあって、
それは社風? いやいや、そうじゃない。
ポジションというか長年のというか
それ故の空気とやり方で仕事だと思った。
広くて深くて。滲み過ぎず情が滲んでいて。
「囲む会」というかちいさな町中華での
「うわあ」なメンバーでの呑み会はびびった。
酒も入って濃い皆が好き放題に喋るのを聴くのが嬉しく
お腹いっぱいになった。
なぜかあの帰り道、
というか、二軒目に行く途中の路地で2人で話したのは
当時何度か通っていた今はもうない大阪のストリップ劇場のこと。
今思うとなんだかちょっと感慨深い。
その後どうってことのないスナックでめっちゃ歌ってた。
濃いメンバーの濃いカラオケ大会はお金がとれるレベル。
今も各人の歌が頭の中で再生されるし再生できる。
わたしは歌わなかったけれど。
そのひとはたくさん歌い、選ぶ曲ごとに解説と思い出を語った。
中でも印象深いのが『浪花人情 ラムネの玉やんの唄』だ。
セリフのせいかな。
いや、やはり、「このひとだからこの曲」だと思ったし、思えたんだ。
昨夜、ひとから聞き、スマホからニュースをみたあと、
某動画サイトで何度か聞いた。2番の歌終わりの売り口上に、笑った。
あちらで2人でカラオケ酒盛りしているんやろな。
『雨の大阪』。『ラムネの玉やん』。濃いな。うっといな。楽しそやな。
わたしは最近「書かなあかん」とより思わされている。
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構成作家/ライター/エッセイスト、
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