9年経った今でも、
9年前。
わたしは大学病院の個室にいた。
いのちが危ない。
いのちを守るための入院。
精神科に入院したのに、守られたのは心ではなく体だった。
自由のない生活。
腕には点滴の痕がくっきりのこり、耳たぶは毎日何回も測定される血糖値検査のためにぶつぶつと腫れていた。
いつからか鼻には管が入り、生きている意味が分からなくなった。
すべての基準は体重計の数値。
いくら安静にして点滴や鼻から入ってくる栄養に耐えようが、その努力は数値が上がらない限り認められない。
世間はバレンタイン、ホワイトデー。
梅の花が開花して、外は春の気候で過ごしやすくなる時期。
病室にいても花粉はやってきて、鼻のむず痒さが心を痛めた。
1日に何回もやってくるドクターヘリの通知音だけが、病室で一人きりの世界から外の世界へと繋げてくれているような気がした。
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そんな当時のわたしが好きだったアイドル
AKB48の公式ライバルとしてデビューした、清楚で儚げな女の子たち。
乃木坂46
(カーテンの中〜♪)
紫色のチェックの制服。
AKB48よりも長いスカートの丈。
その姿に一目惚れした。
入院する前日、「乃木坂ってどこ?」のテッシュ配りの回を見ながら、明日からはもうこんな時間にテレビは見れないな〜っと悲しくなりながら入院準備をした。
つらい入院生活、『ぐるぐるカーテン』を聞くことで元気をもらった。
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あれから9年
2021.2.22
乃木坂46 9歳のお誕生日
わたしは『ぐるぐるカーテン』を自宅で聞いた。あのどん底だった時に聴いた曲を。
「いのちが危ない」そんな時期に救われていた歌を聞くのは、込み上げてくるものがありますね。
9年前、「いのちが危ない」と言われた私はその状況からはなんとか脱した。
でも未だに病気と闘っていて、希死念慮は日に日に強くなる。
あの時治療をしなければこの世からもういなかったんじゃないか…そんなことを思ってしまう日もある。
だけど、彼女たちの歌を聞いてまた生きてみようってちょっと勇気をもらえた。
ライブ会場でまたライブみたいな。
それまで生きなきゃ ね 。