ももヨ
わざわざ掬うほどではない、 吹きこぼれた気づきや感情たちの溜まり場。
あたしには箱がある。 その箱は、昔は開いていた。 けれど、みんなに中身を不気味に思われ煙たがられた。 それでも平気なのがあたしのはずだった。ちょっと我慢して。 「世界中の人に好かれなくても生きていける」と知っていたから。 でも、一人ぼっちは寂しかった。 よくわからなくても、みんなの声に「そうだね」と共感してみる。 すると、あたしも輪っかに入れた。 あたしは誰かと一緒という、初めての感覚が嬉しくて、よくわからなくても「確かに」と口を揃え続けた。 そうしていくうちに、あた
先月から、カフェで働き出した。 たまーに、朝早くからシフトに入ることもあり、朝の5時に家を出る機会を手にした。 そして出会った、朝の世界に私はすっかり飲み込まれてしまったのだ。 長袖の季節の早朝は真っ暗で、晴れていたら星が散らばっている。 なんだ、星は夜だけのものではないらしい。 時計がないと、時間がわからない。 時計を見ても、夜中なのではと疑う。 そんな曖昧で不思議な世界に、ついさっきまで眠っていた私が飛び込む。 いつも通っている道のはずなのに、いつも見上げてい
わざわざ掬うほどではない、 吹きこぼれた気づきや感情たちの溜まり場。 --- ・まん丸過ぎない、「ちょっと太ったね」って 言いたくなるお月さんが好き。 ・カラスの口の中は、意外とかわいい。 ・信号には一回も引っかからなかったけど、 すれ違う人みんなと、道を譲り合って気まづくなるやつを繰り返す。 ・「ま」の書き順が横→縦→横な古文の先生。 ・通う度にケバさが増す地元の耳鼻科の先生。 ・「もしかして前世私ですか?」 ・夏の眩しさより、秋の物悲しさの方が性に合う。
私は自分から「です・ます調」を選ぶことがまずない。 手紙やメールのやり取り以外では、ほとんど「だ・である調」を貫いている。無意識の内に。 学校の授業などで、何人かの感想文を匿名で共有することも多いが、毎回「だ・である調」で書かれているのは一つだけ。 そしてそれは必ず、私の書いた愛想のかけらもない文章だ。 「あぁ、この書き方はマイノリティなんだ」と、上品な言葉遣いに並ぶ、尖った物言いを見つける度に思っている。 文章から人に「敬意のない人」と思われるのは嫌で、「です・ます調
こつこつ 階段を一段一段丁寧に下る 消えちゃいそうな 忘れちゃいそうな あの子の感情を掘り起こすため とんとん 窓を優しく撫でる ずっといて欲しい 覚えておきたい あの子の想いをなぞるため あの子と私は ずっと逢ってるし いつまでも逢えない だから一生懸命寄り添う 何一つ零れ落ちないように 何をしてでも守りたい子 ぽっぽっぽ あれ、時計の先から私を照らす光がある あたたかく逞しい光 ありがとう そうか、やっぱり私は1人じゃない 時計は続く ぐにゃぐにゃ続け
真っ赤な太陽。 皺のある海。 手先をかじかせる風。 いつも傍にあるようで、いつも違う。 この瞬間瞬間も同じようで変わっていってる。 私は自然に触れる時、自然の無常観に心が震える。 この一瞬に出会ってくれてありがとう。 あなたの顔を全て見ることはできないけど、 今見ているものを何よりも大切にするよ。 なんて、思ってるうちに君は沈んでしまう。 君の残している明かりをもう少し、愉しませてもらうよ。 じゃあね、新たな瞬間に。