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鰆(さはら)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名産圖會 5巻 [3]


鰆(さはら)

讃州さんしうに流し網にてとらふ。五月以後十月以前に多し。おほいなるものながさ六七尺にも及ぶ。漁子ぎよし、魚の集りたるを見て数十艘を連ねて魚の後よりこぎまはり追ふことはなはだしければ、うほやうやくつか憑虚ひやうきよとしてゑふがごとし。其時先に進みたる舟より石を投げていよゝゝおどろかしひきかへしてにげんとするの●●を見さだめ、網をおろして一すことなし。是を大網おほあみ、又、しぼるとも云なり。さて網をたくり攩網たまあみにてすくひ取るなり。

鰆の字、亦、国俗の制なり。もつとも字書じしよに春魚とあれども、わづかに二三ばかり微魚びぎよにて、さらにあつべからず。大和本草やまとほんざう馬鮫魚さはらあてたり。曰、魚だいなれどもはらせうせはし、故に狭腹さはらなづく。サは狭小さしうなり。閩書みんしよ曰、青斑色アオマダライロ  無鱗ウロコナシ  有歯ハアリ、其ちいさきもの  謂  青箭サゴシ 云なり。

此子はなはだ大なり。是を乾したるをカラスミといへり。すなはち乾し子からしこと云。鯔子ぼらこ乾子からすみは●に勝る。

鰆流網(さわらながれあみ)
数十艘を連ねて魚の後より漕まはり追ふ
先に進みたる舟より石を投げていよゝゝ驚かし
引かへして逃んとする



さわらの西京焼き お弁当
Photo by mominaina


筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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