【絵本野山草】(19) 秋海棠/鳥かぶと/みそはぎ/がく草/あけぼの草/千日紅/檜扇/藤撫子
秋海棠
七八月はなさく。葉あつく、もとひずみあり。葉のつぢにいろあり。莖うすきいろ、ふしあり。四辨 葩 二辨は大に 二辨はちいさし。うち黄のつぢあり。はなびらうす紅いろなり。
秋海棠 舊傳 為 爛腸草 。近日 見 人 取 梗 去 皮 ■ 糖霜 吃 。頗 清香 其花 艶麗 可 愛。 [■は艹+醮]
※ 「舊傳」は、旧伝。昔から言い伝えてきたこと。
鳥かぶと 草烏頭
八九月花有。葉、きくのはなに似てあつく、つや有。きれふかし。花のかたち、鳥かぶとのごとし。花にるり、白、柿紅、三色あり。又、蔓草になるも有。是をはなづるといふ。葉すこしまろくきれ、こまかにつるより小えだ出る。はなは、るりいろなり。
みぞはぎ 鼠尾草
葉の形、長丸し。相 對付て、其葉の間々にはな有。六つ 葩 有。又、五つ葩有。段々入ちがひ也。花色、るりにして小き花なり。草立、萩のごとし。野つゝみの下原、又、みぞの辺に多く生ず。
別録 曰、鼠尾 生 平澤中 。四月 採 葉 七月採 花 陰乾。弘景曰、田野 甚 多。人 採 作 滋 染 皂。
※ 「弘景」は、南朝梁の道士、陶弘景。
唐あぢさい がく草
六月咲。木も葉もうつげに似たり。花は、あぢさいに似てしろく、花のかたちほそながくして、杉なりに薹たちてひらくゆへ、から紫陽ともいふ。六月はなさく。花の拂底なる時節にてはなかくそくあるゆへに、又、がく草ともいふ。
※ 「杉なり」は、杉の木のように上がとがって下が広がっている形。杉形。
※ 「拂底」は、物がすっかりなくなること、ほとんどない様子。払底。
※ 「かくそく」は、覚束でしょうか。
あけぼの草
葉、あぢさいのごとくにて、少しひろし。花のかたち梅の花のごとく、白紅一重、葩のさきとがり、うちに花びら一辨に二つづゝほし入。葉の間より花しのいで、花数さく。見事なり。吉野静ともいふ。六七月にはなさく。
千日紅
六月花有。葉あつく、莖むらさきのうつり有。葉の末に花一りんづゝさく。かたち丸く、いろ紫、|至極《》しごく見事也。日をかさね、花のいろかはらず。千日紅の名有。白花有。花葉ともに同じ。
ひあふぎ
五六月はな有。花びら、うちこひ柿紅、ちいさき有。また本黄いろにほしなきも有。又、紅のほしなし有。葉に白すじ入も有。葉うす白きすじ入、花本黄にほしなしもあり。
藤撫子
五六月花有。葉、川柳のはに似て、あつくつや有。花に紫、白、二色有。花びら五つ、はのうへにすゞなりにさく。又、濱なでしこともいふ。
筆者注 ●は解読できなかった文字、□はパソコンで表示できない漢字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖