【絵本野山草】(11) 熊野菊/なでしこ/うつぼ草/ほうちやく草/蕙蘭/八代草/万花草/黄芩草
熊野菊
㣲御 五月花。花のかたちもつかうの花のごとし。いろ本黄なり。葉のかたち、益母草に似てあつく、大葉なり。莖にむらさきのほし有。根本、紫色也。又、はんくはい草ともいふ。
※ 「もつかう」は、木瓜。
※ 「はんくはい草」は、樊噲草。
なでしこ
六月花。はな一重、いろ白に紅しぼり、よこきれふかきを、こまとめといふ。また、地しろ、きれふかき中りんを、白糸といふ。花白一重、八重紅しぼりを、駒片といふ。
うつぼ草
五月花。はなのかたち、うつぼのごとし。葉より立のび咲。花に白、むらさき、うすいろ、三品あり。
ほうちやく草
又、白つりがね草といふ。葉、八代草に似て、はさき尖り、莖にあかみ有。花のかたち、小ぶくろのごとし。紅白二種あり。萕苨一名也。はなつりがね草よりは長く大なり。五月花さく。
※ 「ほうちやく」は、宝鐸。堂塔の軒の四隅などに飾りとしてつるす大形の風鈴のこと。
蕙蘭
花六七月。九節蘭、ふし九つ有をいふ。
花のかたち、蜂のごとく、上々うこん色、つやひかり有。はな、しの三四本たち、しの一本に六七りんづゝさく。にほひ甚高し。
古哥に
山蜂の すがたに花の 咲出て
にほひやとをく 人ををふらん
葉に、かはりちり、虎斑あり。すじ入たる有。つま白有。又、鳳茶といふは、花のかたちかはらず、葉の尺ながく、はさき四方へみだれ、つやひかり有。画る鳳凰の尾のかたちに似たり。又、かんらんといふ有。鳳蘭に似て、葉につやひかり有。小葉也。尺みじかく冬にいたり寒を侵して花さく。はなちいさし。くろべになり。
※ 「つやひかり」は、艶光。
※ 「古哥」は、古歌。
八代草
六七月花。花のかたち、桔梗のごとく、いろ、ききう紅、しのだち、葉のあいに咲。花一所にさく。葉は、をどり草に似たり。
※ 「ききう紅」は、誤読しているかもしれません…。
万花草
花六七月白有。長尺あまり。
はなのかたち、桐似て、ひらたく、しべ長ふして六すじあり。いろ、うすむらさき、花しの立、桐の如花、小く下より段々にさきのぼる。葉、まさ木に似て丸く、葉のめぐりに白きりんあり。草立、まさ木に似て、葉むかひあふ。
※ 「まさ木」は、正木、柾。
黄芩草
六月中●●。花形、うつぼ草に似てながく、色うすぎきやうにして、うつぼ草のごとし。葉、向ひ合出て、みそはぎのごとし。長尺余。山谷に生ず。
※「うすぎきやう」は、薄黄桔梗でしょうか。
※ 「みそはぎ」は、禊萩。
黄芩 生 秭歸川谷及■句 [■は宀+免]
今川蜀河東陕西近郡皆 有 之
苗長尺餘莖簳麄 如 筋
葉 從 地 四面 作 叢生
類 紫草 高一尺許
亦 有 獨莖者 葉細長青色兩兩相對
六月 開 紫花 根黄 如 知母
麄細長四五寸二月八月 採 根 暴乾 用 之
呉普本草云 黄芩又 名 印頭 一名内虗
二月 生 赤黄葉 兩兩四面相値
其莖中空 或方圓高三四尺
花紫紅赤 五月實黑 根黄
二月 至 九月 採
一名 腐膓 一名 空膓 一名 内虗
一名 黄文 一名 經芩 一名 妬婦
味苦大寒 无 毒
治 骨■寒熱往来膓胃 不 利
治 丁瘡 排 膿 治 乳癰發背
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖