【絵本野山草】(2) 白朮/銀銭花/蘭菊草/馬藺/いちはつ/一りん草/あやめ/春日百合
白朮
花 夏より秋の末まで咲。
春より 生ず。葉はこはくさゝらあり。鋸歯ちいさく、一枚葉有。三つ葉有。花 白く、亦、桜色有。臺に 小き 魚骨 のごとくなり。葉のとりまきあり。長一二尺ばかり。一名を をけら ともいふ。
銀銭花
朝露草ともいふ。
はなのかたち かうそのごとく、花は 秋葵より 小し。色、しろ、青、き、うるみ色、花底 黒べにのきほひあり。
葉、五つ出、三つで有。葉のきれ、西瓜の葉に似たり。長一二尺ばかり、えだもあり。朝にひらき、ゆふべにしぼむ。その 次なるはな、又、朝にひらく。秋葵の類也。又、金銭花に似たり。六七月まではなさく。
※ 「かうそ」は、コウゾのことと思われます。楮。
※ 「黒べに」は、黒紅。黒味がかった赤色。
※ 「きほひ」は、競ひ でしょうか。
蘭菊草
七月より八月まで花
葉、布袋きくに似て、うすくひろし。さき 尖り、ふちのまはり きれあり。葉の間にだん/\くるまにさく。はなに、むらさき、しろ、二種あり。
いちはつ
花に、紫、白、二色有。葉、日扇に似たり。二月末、花あり。
馬藺
花のかたち、あやめのごとし。|色《いろ、うすむらさき、葉、あやめに似て、すこしほそし。三四五月まではなあり。
一りん草
兎葵 二月はな有。
花葉ともに、梅花草に似て、小ぶり也。しのだち一りんづゝはなさく。夏雪草ともいふ。此、少し大ぶりなるを 一花草といふ。梅花草とは、はなのつきやうにちがひあり。
あやめ
■蓀 [■は艹+溪]
三四月花有。
花に白あり、紫有。ねずみ色あり。咲わけあり。白に紫のうつり 少し有 花也。蜀錦あやめといふ。又、色紫にて、六えうあり。また、をきなあやめ といふは、紫しろに、あをのうつりあり。筋入あやめあり。葉に白すじいる。
※ 「■蓀」は、渓蓀。
※ 「蜀錦」は、蜀江の錦。京都・西陣などで 蜀江文 を模して織り出した錦のこと。
※ 「六えう」は、六葉のことと思われます。六葉。
春透百合
夏すかしよりはすこし色つよく、かのこ 少し。まるみ 艶あり。たちのびること二三尺、はなのいろ黄あかく、紅のくま有。花びら 六枚、しべ 六本、さきに 米有。色むらさきなり。
百合 有 三種 。一名 𣞀香。
百合 子 可 烹 或 蒸 食 之。
益 氣。
一名、百合。
子 可 食。
花 遅 一月 不 甚香 。
一名 、虎皮 百合 能 殺 人、不 可 食。
都波 不 知 耕 稼 土多 百合 。
取 其根 以 爲 糧。
※ 「かのこ」は、鹿の子。 鹿の子百合の鱗茎は、ユリ根として食用にされます。
※ 「都波」は、ツワブキの別称。都波。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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