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【絵本野山草】(2) 白朮/銀銭花/蘭菊草/馬藺/いちはつ/一りん草/あやめ/春日百合

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [1]


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [1]

白朮びやくじゆつ

花 夏より秋の末まで咲。
はるより しやうず。はこはくさゝらあり。鋸歯のこぎりちいさく、一まい有。三つ有。花 しろく、またさくらいろ有。うてなちいさ魚骨うをのほね のごとくなり。葉のとりまきあり。たけ一二尺ばかり。一名を をけら ともいふ。


白朮 をけら

銀銭花ぎんせんくは

朝露てうろさうともいふ。
はなのかたち かうそのごとく、花は 秋葵かうぞより ちいさし。色、しろ、青、き、うるみ色、花そこ 黒べにのきほひあり。

葉、五つ、三つで有。葉のきれ、西瓜すいかの葉にたり。長一二尺ばかり、えだもあり。あしたにひらき、ゆふべにしぼむ。その つぎなるはな、又、朝にひらく。秋葵かうその類也。又、金銭花きんせんくはたり。六七月まではなさく。

※ 「かうそ」は、コウゾのことと思われます。こうぞ
※ 「黒べに」は、黒紅くろべに。黒味がかった赤色。
※ 「きほひ」は、きほひ でしょうか。

銀銭花 ぎんせんくは


蘭菊草らんぎくさう

七月より八月まで花
葉、布袋ほていきくに似て、うすくひろし。さき とがり、ふちのまはり きれあり。葉の間にだん/\くるまにさく。はなに、むらさき、しろ、二しゆあり。

らんきく
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [1]

いちはつ

花に、紫、白、二色有。葉、日扇ひあふぎたり。二月すえ、花あり。

いちはつ


馬藺ばりん

花のかたち、あやめのごとし。|色《いろ、うすむらさき、葉、あやめに似て、すこしほそし。三四五月まではなあり。

馬藺 ばりん


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [1]

一りん草

兎葵とき 二月はな有。
花葉ともに、梅花ばいくはさうに似て、ぶり也。しのだち一りんづゝはなさく。夏雪なつゆきさうともいふ。此、すこし大ぶりなるを 一花いつくはさうといふ。梅花ばいくは草とは、はなのつきやうにちがひあり。

一りん草


あやめ

■蓀  [■は艹+溪]
三四月花有。

花に白あり、紫有。ねずみ色あり。咲わけあり。白に紫のうつり すこし有 花也。蜀錦しよくきんあやめといふ。又、色紫にて、六えうあり。また、をきなあやめ といふは、紫しろに、あをのうつりあり。すじいりあやめあり。葉に白すじいる。

※ 「■蓀」は、渓蓀あやめ
※ 「蜀錦しよくきん」は、蜀江しょっこうにしき。京都・西陣などで 蜀江文しょっこうもん を模して織り出した錦のこと。
※ 「六えう」は、六葉ろくえふのことと思われます。六葉ろくよう

■蓀 あやめ


はるすかし百合ゆり

なつすかしよりはすこし色つよく、かのこ すくなし。まるみ つやあり。たちのびること二三尺、はなのいろ黄あかく、紅のくま有。花びら 六まい、しべ 六ほん、さきに こめ有。色むらさきなり。

百合ひやくがう あり 三種さんしゆ 一名いちめい  𣞀香たんかう
百合ひやくがう   べし   あるひは  むして くらふ  これを
ます きを
一名いちめいは百合ひやくがう
べし くらふ
はな をそきこと  一月いちけつ   はなはだかうばから 
一名 虎皮こひ 百合ひやくがう  よく  ころす ひとを べから くらふ
都波とは ざる しら  耕 稼かうかを をゝし 百合ひやくがう 
とりて  そのねを  もつて  かてと

※ 「かのこ」は、鹿。 鹿の子百合の鱗茎は、ユリ根として食用にされます。
※ 「都波とは」は、ツワブキの別称。都波つわ

春すかしゆり



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