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【絵本野山草】(17) 金糸梅(きんしばい)/あづま菊/碇草(いかりそう)/蒲公草(たんぽぽ)/薊(あざみ)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]


山吹草 金糸梅きんしばい

はなのかたち、四つはなびら、いろしごく本黄。よるはしぼみ、ひるはひらく。葉、野蜀葵みつばに似たり。三月はなさく。

草山吹 くさやまぶき


小青せうせい草 あづま菊

葉、䓆蓂をになづなのごとくにて、きれなし。花しの立、五六尺たち、うす紅いろ、きくのごとき花、小りん。又、千本やりともいふ。二月花咲。

※ 「小りん」は、小輪。

東菊 あづまぎく


いかり草 淫羊藿いんようくはく

四五月花有。花のかたち、いかりのごとく、色に、こいむらさき、うす紫有。葉、ちいさく、葉本、ひずみ有。くき葉ともにかたし。また、白はなあり。三しなとも、草に大小有。大いかり、小いかり、といふ。

碇草 いかりさう


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]


たんぽゝ

はなのかたち、菊にたり。くき無枝えだなし。かうほねのごとく、葉大がゝり有て、なずなのごとくざとり、冬より葉を出し、みどりにしてしもをうけて、はのさきむらさきのこがれ有。花の色 黄、又は、白有。又、赤有といへども、今に見ず。花、冬より咲も有。多くは三月にさく。

※ 「ざとり」は、座取ざとりでしょうか。

蒲公草 たんぽゝ

蒲公草ほこうさう もと  あらはさ ところ いづる 州土しうどを いま  處處しよ/\  平澤へいたく田園でんえんのうち 皆 有 之。春初しゆんしよ  しやうず なへを  ごとし 苦苣くさよの あり 細刺さいし  中心ちうしん   ぬきんず  一莖いつけうを  莖端けうたん  いだす 二花じくはを 色黄いろきにして ごとし 金錢きんせんの きれば それくきを あり 白汁はくじるいづる 

ひとまた  くらふ これをぞくによんで  蒲英ほえいと 一名いちめいは  搆耨草かうじよくさう甘乎あまくして  なし どくつかさどる 婦人ふぢんの乳癰腫にうようしゆを 水煮すいしやして  じう いんしこれを をよび  ほうずれば これを  立消たちどころしようず


あざみ

漢名 薊
三月、花有。四月花開、又、六月花有。又、秋さくもあり。是は、八月より九月にまでさく、あざみあり。

花にかずをゝし。白、末紅すえべに、本紅、あるひは、すへむらさき、雪白、又、かき、るるむらさき、うす紅いろあり。雪白に本紅のさきわけあり。むらさきに白のさきわけあり。二種ともに至極しごく上品じやうひんなり。

※ 「さきわけ」は、ひとつの株の草や木に、色の違う花が咲くこと。

鬼薊 をにあざみ

また、日光につくわうあざみといふあり。ちう葉大りん、葉はつねのあざみと同じ。よく培養そだつれば、至極しごくをゝいになるなり。また、天竺てんぢくあざみといふもあり。

朝鮮てうせんあざみといふはな、ともにをゝいなり。はなのいろ、るりむらさき、葉つねのあざみよりはきれふかく、平江帯へこたいのはを見るごとし。くさだち、格別かくべつをゝきく、ををどろかせり。またことし、いろのあざみをはじめて見る。はなのいろかはりたるといふばかりにてこのむにたらず。葉にの入たるも、あざみを泥胡菜きつねあざみともいふなり。

※ 「平江帯へこたい」は、キク科の植物 ヒゴタイ(平江帯)。
※ 「はなのいろかはりたる」は、花の色変わりたる(かわっている、珍しい)。
※ 「このむにたらず」は、好むに足らず。



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