【食品図鑑】宝船桂帆柱(5)十遍舎一九×歌川広重 8 mominaina 2023年12月6日 23:25 手製てせい諸しよ食品類しよくひんるい出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』醴あまざけ 甘酒手造てづくりの方はう 大抵ていてい、米こめ一升飯めしに焚たき、その冷ひへざるうちに麹かうじ一升めしと和まぜ合せ、桶おけに入、その桶を蒲団ふとんくるみ冷ひへざるところに一夜よ置おき用もちゆるとき、能よきほど水を入温あたゝめるなり。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』醝しろさけの造つくり法ほう白酒うすにてひく糯もちの精米しらげ七斗を饎こはめしとなして、能よく冷ひやし ●しづ めて、一斗の酒さけの中へ漬つけ、かたく封じて、春夏はるなつは三日、秋冬あきふゆは五日にして口を開ひらき、箸はしをもつてその飯粒めしぶつを解ときわけ、嘗なめてこゝろみ、甘あまみの生せうじたるを度どとして ●もろみ をつらね、これを磨ひく。いたつて甘味かんみなり。餘よはいかほどにても、此割合わりあい也。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』豆腐とうふ 於加倍造つくる法。大豆だいづ二升を水にひたし、一宿いちやおき、■ひき [口+豈] て糊のりのごとくにし、水六升を入て煮沸にわかし、沫あはを起おこすとき、あぶらの■おり [泭+工] 一二滴しづく出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』杖つえのさきに粘つけて、釜かまの中をかき、沫あはをきやし、ふたゝび煮沸にわくをまちて、火をひく。しからざれば焦こげつく也。これを酌くみて、布ぬのの袋ふくろに入、又、水一升五合をもつて釜かまの中を洒そゞぎ、ともにしぼりて汁を桶おけにうつる。其 滓かすを雪花菜きらずといふ。其 汁しるいまだ凝とらざる時、塩の出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』鹵汁四分一を和て、静ゝかき合すれば頓て凝なり。是を箱に盛石をなしとす。暫くして水出し、次水に入てよし。但、鹵汁多ければ 豆腐かたし。箱には底へ布をしくべし。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』饅頭まんぢう甘酒あまざけをもつて、麦粉むぎのこを ●こね て餡あんを包つゝみ、焙篭ほいろに入、あたゝむれば、肥こへ脹はる。ふたゝびこれを蒸むしてなるその甘あま酒は、糯もち一升飯めしに焚たき、別べつに麹かうじ二合を水一升五合をもつて洗あらひ、米こめを去さり、花汁を用もちひて桶おけに盛飯もりめしをせい中へ入、一宿いちやしてなる。糟かすを去さり、汁しるにて麦粉むぎのこをこねる。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』蒟蒻こんにやく蒟蒻こんにやく は 七八月に根ねをとり、軒のきの下にかけ、晒さらし乾かはかし、外そのの皮かはすこし皺しはむとき、水すみし入、煮にること蒸むすがごとくし、竹たけの針はりにさしてよくとをるを度とし、取とり出し竹刀ちくとうを出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』もつて皮かはをむき、つきたゞらかし、壺つぼに入、水を ●● してよくこね廻まはし、● 泔しろみづのごとくなるとき、澄すみたる水をながし捨すて、しずみ ●とり たるをとりて、ふたゝび舂つけば、粘ねばりて糊のりのごとくなる。別べつに、真しんの石灰いしばいを水にとき、指ゆびの爪つめの染そまるばかりにして、蒟糊とんのり五升に石灰いしばい一合がうをまぜて餅もちとし、出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』幅はゞ三寸ばかりの浅あさき溝みぞある木の樋とひに盛もり、おしのべて、板いたの片へぎをもつて切て、ひらたき 方形かくのかた ちにつくり、煮湯にへゆ一升の中へ石灰いしばい一合がうを入、ともにこれをよく煮にて、浮うきたるとよしとす。およそ春夏はるなつは廿日、秋冬あきふゆは十日をへてぬめりを生せうじて腐くさる。毎つねに石灰いしばいを糁まぶしおけば、敗やぶれず食しよくするとき、よく湯煮ゆにをし灰気はいきをさり用ゆべし。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』膠飴ぢわうせん 餳あめ造つくる法ほうは、生なま糯もち一斗を精白しらげとし、強飯こはめしにむし、出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』麦むぎの糵もやしその芽稃めのぎをさり、末ことして、五合と拌かきまぜ 湯ゆにつけてふたをし、二時斗ばかりにして布ぬののふくろに入、糟かすをしぼり去。汁しるを取とり用ひてこれを煉ねる。その軟やわらかなるを ● 飴しつあめとす。煉ねりすごして膏薬かうやくのごとく むらさきいろなるものを膠飴ぢわうせんといふ。俗ぞくにいふ、ぢようせんなり。地黄煎ぢわうせんとかく。その硬かたく凝こねものは 鑿のみをもつて、穿切うちきる痰切飴たんきりあめなり。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』粔籹おこしごめ造つくる法ほうは、糯もち米を ■こはめし[食+強] にむし、晒さらし、乾かはかし、少し炒いりて、地黄煎ぢわうせんと米こめの粉ことまぜ ●こね て、杻つくねてまろめるなり。岩いはおこしといふは、つくねたる侭まゝ也。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』白雪糕はくせんこう大米一升、糯もち米一升、山薬さんやく少し炒いり、連肉れんにくは心しんを去。芡実けんじつ 細末さいまつにし、おの/\四両づゝ白砂糖さとう一斤半これを拌かきまぜ、蒸熟むしじゆくしてなる。※ 「連肉れんにく」は、蓮はすの実のこと。※ 「芡実けんじつ」は、オニバスの成熟した種子のこと。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』環餅けんぴ 捻頭ぼうる ■らくがん [食+散] 落雁落雁らくがんは 糯もち米、強飯こはめしにむし、干ほしてくだき、粉こにし、さらし乾かはかし、少し炒いり、砂糖さとう汁しるにて●こねて、その模範かたに入れ、これを按おす。かたち模かたにまはす也。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』環餅けんぴ、捻頭ぼうるは、麦粉むぎこを少し腐くさらかして造つくる。綿実わたさねの灰汁あくをもつて煎せんじ、膏あぶらとし、少しばかり麦むぎの粉この中へまぜる。しからざれば、熬いれども脹はれ大ならず。これを油蒸にしたるをいふなり。およそ、● 餅けんぴぼうる、落雁らくがんは一類にして、異品ゐひんある物也。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』加須底羅かすていら 人参糖にんじんとう 浮石糖かるめいらカステイラは、● ●じやうめん 一升、白さとう二斤きんに、割卵たまご八つの肉汁にくじうをもつて、● こね和まぜ、あかゞね鍋なべに入、炭火すみびにて熬いりて、黄色きいろになりたるとき、竹針たけばりにて孔あなをつきあけ、火気をよく中うちへ透とおらしめ取とり出し、切きり用ゆるなり。※ 「あかゞね鍋」は、銅鍋のこと。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』浮石粉かるめいらは、氷こほりさとう一斤、あかゞね鍋なべにて、水四合入れ、煎せんじ、割卵たまごひとつ黄味きみをさり、白汁はくじうを入れ、さとうの塵ちりうきたるを掬すくひさりて、砂糖さとう蜜みつとし、冷ひやし、しづむるときは凝こりて 飴あめのごとくなるを、両人相あい向むかひてこれをひく。潔白けつぱくにして飴あめのごとく筋すじ出る。これを切用ゆ。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』人参糖にんじんとうは、かるめいらの いまだならざる飴あめの如ごとくなるとき、紅花こうくはの黄汁きじるをまぜて冷ひやし、定さだ● 長さ二三寸にす。煎餅せんべい糖蜜さとうみつ をもつて、麦むぎの粉こをこねて、柔やはらかならず出典:国立国会図書館デジタルコレクション『宝船桂帆柱2編4巻』かたからずして、甑こしきに入、むして摶まろめ、竹の管くだにてのし、うすく平ひらたく径わたり四寸ばかりにし、晒さらし、乾かはかし、一まいごとに 鉄てつの模かたをもつて両面めんよりこれを焙あぶり、すこしかわくとき、取とりいだし、端はしをまくを巻まき煎餅せんべいといふ。又、生なま糯米もちのこと生豆まめ粉とを、膠飴ぢわうせんに ●こね て製せいするもあり。筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖 ダウンロード copy #豆腐 #甘酒 #古文 #麹 #カステラ #古文書 #歌川広重 #饅頭 #煎餅 #蒟蒻 #白酒 #十返舎一九 #カルメラ #おこし #十遍舎一九 #雪花菜 #白雪糕 #地黄煎 #粔籹 8