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「文學ト云ウ事」 深夜に教えてくれた日本近代文学の面白さ
20年前、
いやもっと前かな、「文學ト云フ事」という深夜番組がありました。
「この番組は文學を読むための壮大な予告編である。」
と始まるこの番組は、映画館で観るような予告編を日本近代文学を題材に制作していて、放送のある日は夜更かししてその時間を待っていました。
時間は10分とか15分間とか?
それとも5分?
あっという間に終わる。でも濃密。
太宰治の斜陽とか、
夏目漱石の三四郎、
安部工房の箱男、
川端康成のみずうみ、
あと、朝雲。これよく覚えてる。
女学校の生徒が美しい女教師に憧れと恋心が交錯する想いをもつお話。
もう引退してしまった井出薫さんという美少女が女生徒役で、緒川たまきさんが先生役。
二人とも儚い美しさで、
ほかの作品の予告にも出演しているのだけど、この番組のコンセプトにぴったりでした。
恋はあまりにも、幻想だった
そうそう、必ずキャッチコピーがつくんだな。
なんとかはあまりにもなんとかだった、という感じで作品のテーマを案内してくれる。
それから作中の大事なセリフを
テロップにして、印象づけしたり。
音楽にもこだわっていた。
エンディングは大貫妙子「彼と彼女のソネット」
劇中もアヴェマリアとか
サティのジムノペティとか。
この番組のおかげで日本近代文学に目覚めて、番組で放送したものは一通り読んでみ、中でも太宰治や夏目漱石、芥川龍之介、三島由紀夫が部屋の本棚に並ぶようになり、文庫版を制覇する悦びもあって。
読み漁っているうちに、文章には色があるんだな、と思うようになりました。
50音の並びであるはずなのに、色彩や温度があって、
国語の成績の良くない私にもわかるくらい、その作家ごとの固有色を感じさせてくれる。
この人は何色かな?
と思いつつブックカバーを選び、
その背表紙が本棚に並ぶのが楽しみだったり。
横浜の老舗書店、有隣堂さんは10色のブックカバーがあって、太宰さんはグレー、夏目さんはワインレッド、芥川さんはブラック、、、勝手なイメージカラーを決めて購入するのも楽しみでした。
子どもが夏休みに図書を選ぶ時にも、夏目漱石ならワインレッドだからね、と伝えやすく、いまだに役にたってます。
あんな番組がまた始まってくれればいいのになぁ。
https://www.yurindo.co.jp/service/
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