古いものに惹かれ始めた娘が買ってきた小皿からふるさとに思いを馳せて
古き良き時代、今ブームですよね。純喫茶、昭和レトロ、古民家リフォーム等々。丁寧で懐かしい風合いが何とも言えない安心感を与えているのでしょうか。
私も古いものが大好きなひとりです。田舎を離れて都会暮らしが長くなるにつれて、祖父母が暮らしていた山間部の光景を思い出すのです。薪ストーブで炙った小豆入りのヨモギ餅をはふはふしながら頬張ったこと、五右衛門風呂の薪割りを手伝ってから入るお風呂の淵が熱くて、体育座りで温まったこと。先祖代々の古いお皿や着物を納めた蔵の暗くて怖くひんやりとした、昔の匂いがする奥の闇。手作りの梅干しを干してあるザル、味噌蔵の大きな味噌樽。畑から採れたての野菜の美味しさ。虫がたくさんいて、小川にはメダカやドジョウ。蛇やカエルにもよく出会い、夜には満天の星空が広がる楽しい里山。すべてが私の原点、原風景です。
高校生の娘は、「それ、今流行りの丁寧な暮らしって言うやつでしょ。いいなあ、そういう暮らし憧れるんだよなあ。」と言いますが、「じゃあ、一人暮らしになったおじいちゃんのところで一緒に住む?」と聞くと、「友だちもこっちにいるし、都会は便利だし、田舎はたまに行くのがちょうどいいよ。」とバッサリ。いつか移住したいのは私だけみたいです。ちなみに父は山間部ではなく、便利な市街地に住んでいて、祖父母の家は空き家になっています。
最近少しずつ元気になった長女は、何とかギリギリで単位をいただき、留年を免れて進級できることになりました。春休みの今、友だちと出かけたり,きょうだいとのんびり過ごして心の充電中です。私の愛読書「天然生活」と、もしかしたらと薦めた「チルチンびと」を気に入り、さらに、自ら図書館で借りて来る丁寧な暮らし関連の本。私も一緒に読んでいます。
そんな娘が友だちと出かけた時のお土産が、冒頭の写真の小皿です。骨董屋さんで見つけたそうです。おばあちゃんのお供え用に、と選んでくれました。なかなかのセンスで、嬉しく思います。
何回か私の趣味に付き合わせて、幼い頃に蚤の市に連れて行ったことがある子ども達が、今になって「また蚤の市に行きたいなあ。いつ再開するの?」と主体的に言うようになりました。お宝を探すあのワクワク感をまた親子で味わいたいものです。
おじいちゃん、おばあちゃん、お母さんへ
子ども達を連れてそのうち遊びに帰るから待っててね。それまで天国で見守っていてね。みんな、里山が大好きな子どもに育ちました。