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ビアフラ戦争 叢林に消えた共和国(著:室井 義雄)【読書感想文もひとつ、またひとつ、と消えていったのだ】

60年代にビアフラ戦争というの内戦がありました。
子どもたちが飢餓状態になり、
骨と皮になった子どもたちの写真を見て、
戦争トラウマがフラッシュバックしてしまった日本人が多かったという。

そんなビアフラ戦争。
いったいどういう戦争だったんだ?
という専門書。

こういうアフリカの地域史に関心を寄せる人は少ない。

場所はナイジェリアである。
ナイジェリアは、まったく異なる3つの主要民族によって構成される。
彼らが同じ国なのは、植民地支配していたイギリスの都合であり、
実態としてまったく違う民族である。

比喩として、
日本と、イランと、ポルトガルくらい違う。
このまったく違う民族を、ひとつの国としてまとめたのが無理だった。

このうち南部のジャングル地帯に住むのが、イボ民族。
彼らの土地には石油が産出され、高等教育を受けた人が多かった。

たいして北部はイスラム教徒、軍人が多いが、経済や教育は低い。
そして新生ナイジェリアのリーダーシップを取っていたのはこちら。

さらに西部のヨルバ族がいたが、こちらは北部の支配にそこまで不満はなかった。

しかし南部のイボはめちゃくちゃ不満だった。
「なんで美味しいトコぜんぶ持ってくねん」

そうして反乱が発生し、彼らは「ビアフラ共和国」を宣言。
独立戦争を起こした。
が、ビアフラ軍は初手で失敗してしまう。

ビアフラ軍唯一の攻勢。
これが成功しても勝てるわけではないだろうが、
可能性としては唯一の攻撃は、
司令官が首都に取って返してクーデターを起こすという事態で、
台無しになった。

そして態勢を取り戻した連邦軍の大反撃が始まる。

ビアフラ軍は拠点や都市を次々と失い、早くも風前の灯。

しかしここからが粘る!
外国から来た白人傭兵たちを投入して、
驚異的な粘りを続けるビアフラ軍。
この粘りが2年ほど続いた。

驚異的な抵抗といっても、
周囲にビアフラの独立を認める国はほぼいない。
四面楚歌であり、四方はがっちりと封鎖されている。
籠城戦であるから、食料が絶対的に不足。
深刻な飢餓が発生した。

結果としてビアフラ兵は、戦う体力すら無くし、
ひとり、またひとりとジャングルの奥地に消えていった。

戦後、ナイジェリア政府は割と寛大な政策を取ったというが、
ナイジェリアは今でもごたごたしており、軍事独裁政権が続いている。

といっても、この経緯を見ると、
独裁止めろとは言えないのである。

日本人なら「この国はどうなってしまうのだろう?」
と憂うところだが。

ナイジェリアはまだ生きている。

↑ ビアフラ側で戦った白人傭兵のひとり。



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