太陽の座る場所(2014年:辻村美月原作)【私は映画紹介のこと、りんちゃんって呼ぼうと思うの「あの、一文字も使われてないけど、それに」】
原作は辻村美月。今回は映画版を紹介します。
この話は、女の子同士のクラスカースト抗争の話です。
覇権を取っている女王のところに、
それ以上の存在である完璧女子が転校してくる。
最初は当然ながら、システムに組み込んで取り入れた
強敵ならば取り込むに限る。
システムはそれだけ、強化されるからだ。
表面的には仲の良い女子グループだ。
こうして「平和」は続いていくかに見えた。
しかしもちのろんのこと、それは真の平和ではない。
隠れたマグマが表面化していないだけだ。
しかし、やがて好きな男の子の話から、
ふたりの思惑がずれていく。
あるある展開である。
しかも女王の女の子が、
自分の手を汚さずに制裁を加えていく様は、
マキャベリも絶賛するレベル。
女子たるもの、教室に7人の敵あり。
プティ・リシュリュー。クライネ・ビスマルクだ。
いや、マキャベリそんなことは言ってない。
なんちゃって名言だけど。いいじゃん!
学園のヒロインの闇が垣間見える!
隠れた悪意の牙を剥くのだ!
いいじゃないか!
えげつない女子はいい!
こういう醜い部分のアリのままがいいのだ。
(まあ、実際に身近にいると困るけど、映画だからね)
しかし、転校生のヒロインに反撃されてしまい、
あまつさえ暴力担当の勝ち気な女子にも反撃されてしまい、
女王は転落していく。
それから10年。
転校生は全国区の女優となり、
かつての女王は地方テレビのお天気おねーさんになってる。
女王は、負けたという自覚があり、
全国区への誘いが来ても、どうしても勇気が出せない。
かつての政敵は、テレビをつければどこにでも出てくる。
自分は地方限定のご当地アイドル。
相手のフィールドには、出ていけない。
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言っておくけど、女王は人の優しさを知らないわけではない。
ただどんな人間でも、頂点に立てば、その地位を手放したくないと思うもの。
そして人間なら、自分の幸福を満たしたいと思うもの。
ある日、ふたりは再開する。
*****
ちょっと低予算で、適度に作った感じの映画。
むしろ原作に興味を持ったけど、
まあ邦画では適度な規模なんだと思う。
ツタヤ中古品放出で最期まで残っていたやつなので、
誰も観ようとは思わなかったんだと思う。
***
私がこれをイイなと思うのは、
内にマグマを持っていない人間なんていないと思うからだ。
戦えばいいのだ。
戦えば、お互いの限界がわかる。
これ以上はまずい! とか、やりすぎ! とか、
戦わないとわからない。
むしろ表面的な「平和」の方が、
よほど暴力的で非人間的なのだ。
お前がどーしよーもないやつなのは、もう許すけど、
これ以上を踏み込んでくるなら、ブチのめすゾ!
それが真の平和なのだ。
平和への過程は、長く険しい。
そこには、男女の差どころか、万物の差すらないのだ。
↑ 原作未読。
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