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七都市物語(著:田中芳樹)【読書紹介くん、君はなぜベストを尽くさないのか?「なぜベストを尽くしてもダメなんでしょうか?」】

田中芳樹の描いたSF未来戦国史。
今回は銀河スケールではなく、
惑星地球に限定。ただし、
ポールシフトにより南北の位置がバグっている。

カリフォルニアが北極。マダガスカルが南極。

この図で7つの都市国家が戦国春秋を繰り広げる。
ちなみに宇宙空間は、月政府によって閉鎖されているが、
月人類は滅び、自動システムによって軌道上が永久封鎖された状態。
ここで戦国をやるのだ。

アクイレニア(シベリア)
ニューキャメロット(イギリス)
プリンスハラルド(南極)
クンロン(チベット)
ブエノスゾンデ(南米)
タデメッカ(西アフリカ)
サンダラー(フィリピン)

こんな感じ。

↑ アニメ版もあるのかな?

田中先生のあの古文調子の文体で、
イケメン名将や軍師たちが、
名勝負を繰り広げるという、
よくお馴染みの展開です。

80年代から90年代の短編を集めたものですが、
その後、アンソロジー続編で、
いろんな作家さんが勝手続編を作っていらっしゃる模様。

エピソードは、
どこか実際の歴史上のエピソードと被っているようなところがあります。
詳しい方は、あ。これは!と気づかれるはず。
こういうのは銀英伝でもタイタニアでも見られたのですが。
今作でも当然のようにあります。

私が気づいたのはジャスモード会戦中のエピソード。
これってバラクラヴァの戦いの第11カーディガン軽騎兵連隊の突撃まんまですね。

レナ川の戦いは、夷陵の戦いかな?

ブエノスゾンデ攻防戦は、ガリポリ戦とかだろうか?

それとも高句麗遠征。

過去の歴史から引っ張ってきているというより、
気づける人には気づいてほしい的な仕込みなのではと思います。
つまり確信犯です。

でも未来戦国ネタが、もう面白くなくなってきてしまった。
そういう人もそろそろ出てくるでしょう。
哲学的なテーマとか、深く突っ込んでいるわけではない。
ドラマやストーリーもそこまで引き回すわけじゃない。

むしろSFの仮想戦記。
軽い。
そこが良いのですが、ずっとこういうのを読んでると、
物足りなくなるかもしれません。
もうちょっと反予定調和的なものが欲しい。

ちょうど銀英伝を書き終える辺りで、これ書いてたのですから、
やれなかったネタ。特に地上戦でないと生かせないアイデアとかの、
供養のために作ったのかもしれませんが、
ただ軽いといってもそこは田中芳樹。
宝塚に婿に出せるくらいの雰囲気なので、
そこは期待にたがわず。

こういうやり方でよいなら、
誰でも未来戦国を作れると思うのですが、
意外と後追いがないようで。



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