空の境界(著:那須きのこ:小説版)【起源に近づくものは起源に縛られる。とりあえずこの読書紹介はそろそろ賞味期限が来た「じゃあ、そろそろ読まないとな」】
タイプムーンのメインオーサー、那須きのこ先生が、
なぜか別枠で書いていた作品。
同人ゲーム時代にはこれが作品化されてたような、らしいんですが、
原作小説版とアニメ版がありますが、
(どちらも観ました)
原作小説枠で紹介しましょう。
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これも型月世界観の一翼を為している作品で、
背景世界が共有されています。
青崎姉妹の妹の方、
橙子さんが頼れるオネーサン役で探偵事務所を仕切っています。
とはいえ本作中に英霊とか吸血鬼とかは出てきません。
作品的には、ばっちり世界を分けています。
(魔術師は出てくるけどね。まあ橙子さんをキャスティングしたのでしょうがない)
今回は「死の魔眼」を持つ勝気なヒロインと、
(死の魔眼は月姫にも出てきた使い回しアビリティ)
それを支えるおっとり系メガネくんという、
ふたりのキャラを中心に怪奇な事件を解決していくという展開になります。
当然、ふたりの恋愛要素も入っています。
このシリーズは、短編がいくつも連なるスタイルでして、
その短編がつながっていくとひとつの大きな物語になる、という方式になっております。
ただし、短編が紹介される順番は、作中時間軸とずれています。
つまり前日譚が後に出てきて、後日譚が先に出てくる、というのがあります。
それがミステリ要素を出しているんですね。
そして「死の魔眼」ヒロインは、戦闘能力も無双級であり、
バトル要素は当然あります。能力者バトルです。
うーん、マンガ的要素をぜんぶ集めたな。
それでいてメインは怪異譚や伝奇物となっております。
型月の定番要素がすべて集約されていますね。
何よりも素晴らしいのは、割と短く終わる作品だということ。
フェイトみたいに果てしなく続いていくと、一見さんは入りずらい。
終わってくれる作品は初心者にとってはありがたく、
入りやすいというのがあります。
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さて、このお話のすごさは解説にあります。
魔術とか魔道について、語られるうんちくが面白いんですよね。
それが作品に深みを出しています。
例えばヒロインの「直死の魔眼」
これは、ココを切ると「それ」が死ぬ線が視える、
というもの。
真月譚月姫でも出てきましたね。
主人公が不老不死の姫様をばらばらにしてしまうあの技です。
他にも「起源」という言葉が出てきますね。
人間の魂には「起源」があり、
それに近づけば近づくほど、本質を発揮できるようになるけど、
逆に本質に呪われるようになる。
それから血筋によって、本質を継承しやすくなるという話。
まあ、そんな世界説明の解説が、作品の面白さを強く引き立てています。
スパイスです。
世界観設定だけで物語をここまで面白くできるんですね。
人気が出るのも分かるかも。
ちなみに、私のいちばん好きなキャラは橙子さんです。
この人がいちばんSF的概念の人なんですね。
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