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花粉戦争(著:ジェフ・ヌーン)【読書紹介は鼻がむずむずした。マスクを取ると自分が柴犬に変わっていた「うーむ。道理で」】

まず「ヴァート」というSF小説がありまして。
未読。


そのヴァートによって、人類は種の壁を越えてしまい、
ありとあらゆる相手との子どもを作れるようになったのです。
ロボ人間族。犬人間族。エトセトラ。
真正人類ももちろんいます。

そしてシャドウ能力なる、死者の記憶を垣間見る能力者も登場。
当然ながら警官として最適の種族です。

さてそんな世界観の元で、
今度は新しいガジェットとして花粉が出現します。
謎の花粉の出現によってパンデミックが発生してしまう。

そんな背景世界で、主人公の女警官は、
とある犬人間のタクシードライバーの死を追いかけます。
犬人間には、花が生えていたのです。
この花って、もしや花粉を出している花?

前提となるヴァート技術を考えると、
人間を苗床にしてどんどこ寄生植物が生えてくる。
しかも花粉。
苗床というよりは強制繁殖というべきか。

これがこの世界の疫病ナノですっ!!

***

ナノテクSF小説。
たぶんナノテクだと思うけど。

90年代でSFに残された聖地はナノテクだと思われ、
ナノテクで何でもありの世界をSFする。
ということがしばしば行われていました。

本作はそのひとつですが、
何でもありすぎて、SFよりファンタジーに近くなっています。
冥王ハデスとその妻が出てくるし。
概念が身体化してしまったんですね。

話の内容も、いちおう筋は通っているのですが、
なんでもありすぎて、焦点が不明瞭。
まあ翻訳文学だからというのも、あるのでしょうが、
完全に内容を忘れていました。
こりゃ忘れるわ。

まあ、いちおうSF枠なんですが。
なんていうか、
SFファンタジー警察ミステリ&ナノテクパニック小説。

という感じですか。
とにかく花粉症を放置しておくと世界が滅びるので、
それと同時並行で警察官が謎を追いかけつつ、
母娘の問題を解決したりしながら、

世界の危機を救う。という話になっています。

***

サイケデリックSFという分類をされていました。
ドラッグ文化が背景にある作品。
という捉え方をされているようですが、分類は難しい。

あらゆるカテゴリが、強制的に融合されていく世界では、
ジャンルとか、カテゴリとかいうものが、意味をなさなくなる。
いや、相性というものがあるのでしょうが。
相性が悪いものは滅びるという単なるダーウィニズムかもしれません。

強制融合は、文字通りのグレイグーでして、
生物多様性が最大化している世界とは、正反対の模様。
そういう意味でも、ナノテク分類なのでしょう。
ナノdeathっ!!



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