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チャイルド44(著:トム・ロブ・スミス)【読書紹介をするだけで犯罪要件を構成する国より、ある本を紹介してみたいと思った】

ナチスを舞台にした作品をしばらく紹介したので、
ソ連を舞台にした小説も紹介したいと思います。
なのでおそらく最も高名な同作。

チャイルド44を紹介します。


ソ連が戦争に勝利した世界(あ、史実じゃんこれ)

とあるソ連政治警察の刑事は、政治犯を追いかけながら、日夜非道な弾圧に邁進する日々を送っていました。
エリートとして悠々自適の生活ではありましたが。

しかしどうしても看過できないことが起きて、
妻を密告するように強要されます。
がしかし、主人公は決然と拒否。
男だぜ!

その結果、妻と共に逮捕され、かろうじて死刑を免れたものの、地方に左遷されます。
あげく助けたと思っていた妻からは
「本当は愛してなかった。怖かったから愛しているふりをしていただけ」
と見下り半まで突き付けられます。

さてそのどん底で主人公は、謎の連続殺人犯の存在にようやく気づきます。
しかし上層部からは調査を禁じられます。
こうなったら自分でやるしかない。
どん底から立ち直るには、
自分の誇りを再び取り戻すには、
たとえたったひとりでも正義を追求するしかない。
なんと妻もついてきてくれます。(一部上司もこっそり協力してくれる)

というわけで、前半は政治警察の刑事として、
暗く非道な展開に終始する鬱展開から、

後半は人間の希望と可能性を信じさせてくれるような明るい逆転劇へと、

物語は前半と後半で著しくその明度を変化させます。

これが!
このギャップ感が!
名作の所以だ!

ハリウッド映画化もされました。
小説版を読んだ人間からすると、ちょっとクライマックス感が物足りなかった気がしますが、時間のない人にはお勧めできます。
(当時のロシア政府はすでに上映拒否)

同シリーズには続編であるグラーグ57とエージェント6があります。
グラーグ57は、ハンガリー動乱を舞台にした作品です。
チャイルド44に比べると垢抜けない普通の作品となってしまいました。

エージェント6は未読です。
まあ、仕方ない。
というかチャイルド44の出来が良すぎるんだ。
こんなん一生に一回しか書けん。

ミステリというよりは、やはり刑事小説ですが。

名作の名に恥じぬスマッシュヒットだったと思います。
やはり読んでおいて良かった。

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