アラビアのロレンス(1962年)【映画紹介は観るといったものは観る「無謀すぎるっ!」】
誰もが知る名作映画。
アラビアのロレンス。
ありゃいったい、何だったんだろう?
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第一次大戦のとき、
イギリスの情報将校ロレンス大尉の物語。
イギリスとドイツの戦争において、
トルコがドイツ側につく。
そして当時のアラビア半島はトルコ領。
しかし現地のアラブ人はトルコに支配されている。
さあ、いつものブリテン流のお時間だ!
アラブ人を反乱させて、トルコに打撃を与えよ。
そこでアラビア語に堪能なロレンス大尉が引きずり出された。
そして、アラブ人の間で信用を築き、
時の英雄になる。
しかしこの英雄は、あっという間に堕落し、
イギリスの勝利と共に一瞬で用済みとなり果てる。
という大体のあらすじ。
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続編というか、ロレンス1918という映画まであった。
ベルサイユ会議でアラブ民族主義のために、
なにかやろう、と考えるロレンスの話。
家族で喜んでみたけど、内容はまったく覚えてない。
なんとなくダカール演説のシャアみたいだ。
(あれも、さっぱりわからんけど)
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というか、スターウォーズとの既視感を感じる。
アラビアのロレンスは、史実なので、
当たり前なのだが、続編を作れるような作品ではない。
そこで「こんなような話を作ってほしい」
的なオーダーがどこかにあって、
その結果がSWなんじゃないか?
という気がしている。
ワタシノカンソウデス。
当時は、いや、今でもそうだけど、
昔の中東というのがさっぱりわからない。
映画も、あまり無い気がする。
中東って、欧州、中国と並ぶ、
三大歴史世界なのに。
歴史物語の宝庫なんだけど、
もっとも知名度がない。
「国家の歴史は3代150年を超えない」とまで言わしめたほど、
栄枯盛衰が激しい地帯なのに。
中国は、まだ中国内でドラマ作っている。
(長すぎてとても見れないけど)
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このロレンス大尉。まれにみる奇人なんだよなあ。
映画は脚色されてるので、史実とは異なるけど、
いずれにせよ両方ともロレンス大尉がおかしい。
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映画でもっとも重要な部分は、
部下のアラブ兵で、砂漠で迷子になった男。
誰もが助からない、あきらめろ。
と言ったときにロレンス一人だけが敢然と助けに戻ったことだ。
愚かな。2人とも帰っては来まい。
皆が思ったが、なんとロレンスは兵士を救助して帰還。
これで英雄となった。
たったひとりの部下のために命を賭けてくれる司令官。
常識に反している。
だが、熱いぜ!
この熱さはヒーローの証だ!
もっともそれは一瞬の輝きで、あっという間にダークサイドに堕ちていくんだけど。
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ロレンスは、別に人気を取ろうと計算したでもなく、
純粋に部下を助けようと思ったわけですらない。
彼が助けたかったのは、自分だったのだ。
ロレンスは、明らかに心に重大な傷を抱えている。
(少なくとも映画では)
だからこそ、彼は。
他人を置き去りにすることに、耐えられなかった。
彼を助けないことは、自分自身を見殺しにすることでもあったから。
できなかったのだ。
それでいいのだ。
英雄はそういうものだ。
そして、この構図はルークやアナキンとも共通する。
ヒーローは、誰かのために行動しているのではなく、
まずもって自分自身のために戦っている。
ヒーローが救いたいのは自分自身であり、
その結果として多くの人がヒーローに救われるが、
ヒーローはたぶん、そこに気付いてすらない。
バットマンとかもそうだ。
でもヒーローは、それで良いんだ。
ヒーローはそういうものなんだ。
むしろ、それがヒーローだ!
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というわけで、
欧米映画の英雄物語という世界で、
ある種のアーキタイプになった作品。
(コジンノカンソウデス)
誰かのためにではなく、
自分のために、他人を助ける。
どうにも、それがヒーロー像の原形のような気がする。
↑ ロレンスと言えば、愛車がブラフシューペリアの人である。
日本だと「キノの旅」のエルメスがブラシュー。
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