THX1138(1971年:監督:ジョージ・ルーカス)【映画紹介はすべての映画を救いたいと思っている。頼む、指示に従ってくれ「予算超過。作戦中止せよ」】
ジョージルーカス最初の映画。
しかし売れなかった。無理ないぜ。
SF哲学映画だもん。大衆にはウケん。
そして売れるために、一念発起して、
スターウォーズを作った。
しかし、
この売れなかった最初の作品が、
深い!
めちゃくちゃ深い、深読みできる映画として完成されている。
基本的なあらすじ。
主人公は、THX1138 という名前です。
人間にこんな名前が付けられていることからも分かる通り、
近未来を舞台とするディストピア映画です。
人々は究極的に管理された社会に暮らしており、
そこから逸脱することは許されません。
主人公は愛にまつわる、あることから、
逸脱者として逮捕されてしまいます。
まあ元ネタは「1984年」でして、
それをいかにアレンジするかなんですが。
白い空間みたいな牢獄で、ノンビリ過ごすことになるのですが、
主人公たち数名は脱出を決意。
この映画は設定や、映像表現が素晴らしい。
光の牢獄は、どこまで進んでも影のない光が続く場所で、
方向感覚を奪われます。
壁のように、乗り越える場所すらありません。
その空間を抜けても、
迷路のような都市空間が。
さすが名監督だけあって、
映像を観たら、伝えたいことがパッと伝わります。
映像センス有りまくり。
なんか、これに似てる。
SF的に象徴的なシーンが次々と出てきて、現代ですら斬新に見えます。
これを超えるSF映画って、最近でもほぼ見かけないのではないでしょうか?
主人公たちは、果たして脱出できるのか・・・・
****
というのが大体の解説なんですが、
これは、視方によってはだいぶ内容が違って見えてくる。
以下、ネタバレ注意。
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ロボット警官たち、
彼らは逮捕するときに、
「君たちを助けたいんだ。頼む」
みたいなセリフを吐きます。
当然ながら(そんなわけねーだろ)という感想を皆さんが持つのですが。
しかしこれがゲシュタルト崩壊してきます。
そう、まるで、もしかして、
本当に助けたいと言っているのではないか?
いや、口先だけとは言え、
ある意味「外に出て生きていくのは不可能だ」と言われているので、
間違ってはいないんですよ。
ネタバレを恐れずに言うと、
脱出した先は荒野。
これまでの説明通り、
外の世界は放射能か何かで滅亡していました。
外に近づくにつれ奇怪な生物が出てくることで示唆されていましたが。
ひとりだけ脱出に成功して、
赤い太陽の荒地に立つ主人公。
もはや帰ることもできない。
しかし。
これはバッドエンドなのでしょうか?
(鳥が飛んでるんだけどな)
まあ、鳥が写り込んじゃったのは、
ミスなのか、意図なのかワカリマセン。
もしかしたらバッドエンドではなく、
この「外」には本当に希望があるのかもしれない。
でもそんな野暮は描かないまま、
宗教的な音楽で物語は終わります。
たぶん、
これはオープンエンドなんです。
外の世界が、
バッドエンドなのか、
グッドエンドなのか、
わからない。
外に出てみない限り、それを確かめることはできないし。
外に出たら、二度と戻っては来れない。
もしかしたら、
外には更なる地獄が待っているのかもしれない。
それでも、
外に出る。
君が望むなら外に出れる。
それが人間性なんだ。
さあ、選ぶがいい。
みたいな・・・・
いや、そこまでは描いてないかもしれないけど。
そんなテーマ性があるんじゃないかと。
だから外の世界をわざと描いていない。
***
これはすごいカルト映画ですよ。
若いころに観てもわからん。
歳をとってから観る映画なのかもしれない。
有名監督なのでカルト枠に入れてもらえないのかもしれませんが、
SWが無かったとしても、知る人ぞ知る名作になっていたでしょう。
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