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八月十五日の空 日本空軍の最後(著:秦 郁彦)【読書感想に告ぐ。停戦が発令された。作戦行動を中止し、ただちに帰還せよ】

末期戦。
絶望的な戦局でそれでも戦い続ける戦士たち。
あるものは誇りのために。
またあるものは愛する家族のための時間を稼ぐために。

それの日本空軍版である。
ノンフィクション。
いわゆるラストバトルに参戦した日本軍パイロットたちを、
調べて本にした。

注意:
日本には空軍と呼ばれる組織は存在せず、
陸軍航空隊と海軍航空隊に分かれていた。
戦後は航空自衛隊。
日本空軍と呼ばれうる組織は厳密には存在したことがないのだが・・・
まあ航空部隊のことである。

日本まめちしき。

まあ8月15日の前後2週間くらいにフォーカスを絞っている。
前半は、末期とは言え、本土防空戦が続く現場。
陸上戦闘や海上戦闘は大きなものがこの時点では起きてないが、
航空戦は常に継続中。

日本側は戦力温存のためにあまり出撃してこないが、
それでもいくばくか出撃した戦闘機は、
米軍機と交戦して、
あるものは一方的に討ち取られ、
あるものは最後の戦果を遂げ、
またあるものは自決を遂げ、

またまたあるものは最終特攻に出撃する。
そんなこんなで折り返し地点たる8月15日を迎える。

それからは終戦時の反乱劇と、
停戦後に発生した不測の戦闘と、
最後に自決を兼ねた特攻をするもの。
満州での戦闘など。
後は停戦使節を乗せた特別機の運用などが描かれる。

***

期間を非常に限っているせいで、
個別の戦闘経緯が詳しく描かれている。
ラストバトルということで、
記憶も鮮明に残っている。
インタビューも筆が乗る。

個人的な推しエピソードは、
「俺は最後の日にスピットファイアに撃墜されたんだ」
「スピットファイアが日本上空にいるはずないだろ?」
「おかしいなあ?」
このエピソードの謎は、この生存した方が、
大英戦争博物館に行ったときに解明。
「それはシーファイアですね。スピットファイアの艦載機バージョンですね」
さらに記録が照合され、現在は世界史の公認のエピソードになっている。

さらに相手のパイロットとの握手会も追加。世界戦史に記録された瞬間である。

なんか、良かったですね。
こういう話は不幸中の幸いという気がする。

***

とにかく末期航空戦の重要な資料として使えそうであるし、
単に読み物としても面白いのだ。

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