彗星の核へ(著:グレゴリイ・ベンフォードとデイビッド・ブリン)【(くそっ、読書紹介なんて、どいつもこいつも自分たちの事しか考えない)「諸君、聞いてくれ」】
絶版名作。
SF探検もの。
彗星の核に派遣された探検隊は、
彗星の核に穴を掘って調査するのが任務。
が、
未知の病原体でメンバーのほとんどがやられる。
治療法がわからないので、冷凍睡眠で未来に託すしかない。
さらに、地球からは帰還を禁止されてしまう。
伝染病を地球に持ち込むなという話だ。当然だ。
絶望的な状況の中で、
探検隊の数十年にわたる苦闘が始まる。
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私が思うには当作品は、
ひとつの民族集団が出現する過程を、
SFとして描こうとした作品である。
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民族は最初から存在したわけではない。
元となる民族から分派して、別の民族となったのだ。
言うまでもなく、最初は母集団と同じ人々だった。
独立しようなどとは考えたこともなかった。
帰るつもりだった。
しかし異変により、帰ることが不可能になる。
帰還が不可能となった人々は絶望の中で、
どうにかして「そこ」で生きていくための努力を重ねる。
そして危機が訪れる。
複数の伝染病で膨大な人数を失い、
さらに内部対立まで起こる。
内戦の危機である。
正しい判断をいつも下せるわけではない。
間違った判断なのか、正しい判断なのかは、
後日になってみなければわからない。
しかし努力を止めなかった結果として、
社会にたいして誠実な姿勢で、
どうにかこうにか体当たりしていった結果。
病原体との共存に成功。事実上の治療法となる。
共同体は危機を乗り越えた。
そして、そこまでの試練を経た結果、
母集団とはまったく異なる社会、
まったく異なる民族に変貌してしまった。
病原体との共存により、これまでの人類とは、
まったく異なる人類へと進化したのだ。
おのずと文化も変わる。
本作中ではそこまで描かれてないが、
おそらく彼らの子孫は自らを地球人とは思わず、
別の国家としてこのまま彗星国として独立していくのであろう。
これはSFスケールで、とある民族の青春を描いた物語であり、
フロンティアスピリットがいかにして、別の国家を出現せしめたか。
という物語の未来的なリメイクでもある。
アメリカSFの自画像なのだ。
↑ 作品と関係ないけど気分で。
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